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新日本製薬(4931)の初値予想/分析 2019年6月27日(木)上場

1. 基礎データ

食品及び医薬品の商品開発、販売を行っている福岡本社の企業。

「パーフェクトワン」で有名であり、個人投資家にも馴染みが深い。

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比較的、売上、利益のブレも大きいものの、黒字を継続しており、地力がある印象。

通信販売が主なチャネルですが、近年海外販売などにも注力しています。

 

売出多め案件ですが、ベンチャーキャピタルはなしです。

 

 

①化粧品

平成18年5月にオールインワン化粧品ラフィネ パーフェクトワンの販売を開始し、現在に至るまで主力商品。当社で企画立案し、製造委託会社にて製品化、物流センターから全国のお客さまへ出荷する販売形態をとっています。

 

②健康食品及び医薬品

栄養バランス・生活習慣を整えて、お客さまの健やかな毎日をサポートするために、健康食品や医薬品を展開しています。

 

会社名 新日本製薬 株式会社
所在地 東〒810-0074
福岡市中央区大手門1丁目4-7京都中央区日本橋兜町6番5号
設立 1992年 3月
代表者名 代表取締役社長 後藤 孝洋
資本金等 3,130万円
社員数 652名(2019年2月現在)
役員 代表取締役社長
後藤 孝洋
専務取締役執行役員/経営企画部部長
八重樫 宏志
取締役執行役員/営業部部長
福原 光佳
社外取締役
柿尾 正之
常勤監査役
善明 啓一
社外監査役
田邊 俊
社外監査役
中西 裕二

 

2. 成長企業判定

2016年9月期は決算変更のため売上が半期分。

ここ数年では売上高、成長率共に、緩やかではあるものの拡大中。

 

成長企業というよりは安定企業にもみえ、マザーズ上場はやや違和感もあります。

 

  売上 成長率 経常利益 成長率 成長率合計 判定
2016/09 12,465   839      
2017/09 28,372 128% 2,275 171% 299%
2018/09 31,210 10% 2,499 10% 20% ×
2019/9予 33,319 7% 2,612 5% 11% ×

 

※40%ルール 「売上高の成長率」+「営業利益率」の値が40%を超えるかどうか
例:
企業の売上高の成長率が100%・・・営業利益率が▲60%まで
企業の売上高の成長率が40% ・・・営業利益率が0%以上
企業の売上高の成長率が20% ・・・営業利益率が20%以上

 

3. 上場スケジュールと想定価格

同日上場があります。同じ週に5社IPOがある中で、3社目の上場。

ややスケジュールは過密感がある中での上場となります。

 
仮条件決定日   2019/06/07(金)
抽選申込期間 2019/06/11(火) 2019/06/17(月)
公募価格決定   2019/06/18(火)
購入申込期間 2019/06/19(水) 2019/06/24(月)
上場日   2019/06/27(木)
想定価格(円)   1,470
公募価格決定(円)   1,470
想定価格からの上昇率   0.0%

 

売出が発行済株式の20%を超えており、ややEXIT感が強め。

今後の成長姿勢に注目が集まります。

 

公募株式数(単位:株) 4,870,000
公募(単位:株) 300,000
売出(単位:株) 4,570,000
売出比率 93.84%
オーバーアロットメント(単位:株) 730,000
発行済株数 20,881,300
オファリングレシオ 26.82%

 

4. 手取金の使途

 

第三者割当分を考慮すると、約14億円の手取金。

主には、システム強化とブランドの新商品開発への投資となり、妥当な内容です。

 

加えて今期の研究開発費は、1.62億円ほど。多くの化粧品会社もそうですが、研究開発費用については案外少ないのがこの業界の常です。

 

① 設備投資設備投資については、情報システムの「効率化」、「事業拡大」、「セキュリティ強化」を進める予定です。調達資金のうち600,000千円を令和2年9月期に充当する計画です。 「効率化」の具体的な内容について、効率的なデータベースマーケティングの運用とコールセンターの入電対応効率化を目的としたデータベース統合・機能強化や基幹システムの機能強化等に319,000千円を充当する予定です。

 

 

また、事業成長を支えるITインフラの構築と強化に150,000千円を充当する予定です。「事業拡大」を目的とした新規投資としては、当社が保有する顧客データベースプラットフォームを活用した新たな事業の創出に向けたスマホアプリ開発等に91,000千円を充当する予定です。「セキュリティ強化」については、ネットワークセキュリティの強化やモバイルデバイス管理、暗号化等のための設備投資に40,000千円を充当する予定です。(注) 設備投資の内容については、「第二部 企業情報 第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」の項をご参照下さい。

 

 

② 商品開発商品開発については、化粧品はパーフェクトワンのブランド開発、新商品開発、コラーゲン研究を計画、ヘルスケアは機能性表示食品・医薬品等に関する商品開発、新たなスタンダード(定番)商品やサービスの開発を計画しております。調達資金のうち515,000千円を令和2年9月期に充当する計画です。

 

当社は中期的な経営戦略において、①パーフェクトワンブランドのさらなるスタンダード(定番)化、②ヘルスケ ア 領 域 で の 新 た な ス タ ン ダ ー ド ( 定 番 ) の 提 案 と い う 方 針 を 掲 げ て お り ま す 。「One to One health &beauty-care.」という事業領域において、継続的な事業成長を実現するため、化粧品及びヘルスケアの両カテゴリーにおいて新商品、新サービス開発を強化する必要があり、調達資金を商品開発に充当する予定です。(注)中期的な経営戦略については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営環境及び経営戦略」の項をご参照下さい。

 

③ チャネル開発・顧客開発「チャネル開発・顧客開発」について、ECで購入いただくお客さまを増やすための施策として、EC利用層に対するSNSなどの新たな広告媒体の開発や顧客開発に調達資金を充当する予定です。直営店舗販売・卸売販売は免税店やドラッグストア等の新業態への出店等新たな販路開発を計画しており、広告費や人件費等に調達資金を充当する予定です。また、海外は新規エリアへ進出するにあたって実施するフィージビリティスタディ(実行可能性調査)にかかる広告投資等の費用や、新規の顧客開発に取り組んでまいります。調達資金のうち上記①、②の残額を令和2年9月期に充当する計画です。※2

 

5. 財務データ

第28期が決算期変更の影響で半期分。

基本的に売上は右肩上がりなものの、利益は凸凹しています。

流動比率も高く、長期借入も少ないためバランスシートとしてはすっきりしています。

財務的な問題は特に見当たりません。

 

ただ、損益計算書をみると、販管費がかなり高いので、テレビCMなどで積極的にアピールしており、製造原価はかなり小さい。販管費により利益はかなりぶれる会社だとおもっていたほうがいいでしょう。売上高に占める販管費の割合が70%を超えている年もあり、やや過大な印象です。

 

 

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6. リスク分析

 特定のブランドへの依存及び、委託先に製造を任せている点はリスクとして挙げられます。何らかの要因で主な委託先である日本コルマーから委託契約が破棄された場合はほかの委託先を探す必要があります。

 

また、消費者とのトラブルなど風評被害のリスクなども懸念しておいたほうがいいでしょう。

 

 

7. 株主構成

 

ベンチャーキャピタルはないですが、多くの株主は2019年に新株予約権の行使でかなり安い価格で株を取得しています。その多くがすぐに売出になっている点はかなり疑問点です

目論見書における、「特別利害関係者等の株式等の移動」のページは目を通して置いたほうが良いでしょう。

 

ロックアップ自体は90日でかかっており、優待などの新設も期待できることから個人には人気しそうな企業。

 

株主名 株数 売出 比率
(株)ラプリス 5,790,000 2,736,000 28.1
山田 英二郎 5,750,000 345,000 27.9
山田 恵美 4,000,000 240,000 19.4
公益財団法人 新日本先進医療研究財団 2,250,000 64,000 10.9
後藤 孝洋 1,825,000 935,000 8.9
八重樫 宏志 490,000 211,500 2.4
新日本製薬社員持株会 96,300   0.5
福原 光佳 85,000 38,500 0.4
松下 大樹 45,000   0.2
和田 一廣 42,500   0.2
上位10名合計 20,373,800 4,570,000 98.9
     
株主名 VC LU(日数) LU(株価)
(株)ラプリス   90  
山田 英二郎   90  
山田 恵美   90  
公益財団法人 新日本先進医療研究財団   90  
後藤 孝洋   90  
八重樫 宏志   90  
新日本製薬社員持株会      
福原 光佳   90  
松下 大樹      
和田 一廣      

 

※LU= ロックアップ
VCは、ベンチャーキャピタルの略、推測含む。
ロックアップは、「鍵を掛ける」という意味で、その銘柄の大株主等が、「公開後の一定期間、市場で持株を売却しない」旨、公開前に契約を交わす制度です。

基本的には、期間と価格の両方の条件が記載の際はどちらか一方が条件をクリアすれば株式保有者は売ることができます。


8. 主幹事証券

 

みずほ主幹事案件。

 

シンジケート 証券会社名 割当数(株) 割当(%)
主幹事証券 みずほ証券 3,896,000 80.0
引受証券 SMBC日興証券 389,600 8.0
引受証券 大和証券 194,800 4.0
引受証券 SBI証券 146,100 3.0
引受証券 マネックス証券 97,400 2.0
引受証券 西日本シティTT証券 48,700 1.0
引受証券 東海東京証券 48,700 1.0
引受証券 いちよし証券 48,700 1.0

 

 

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9. 提出会社の状況

 

臨時雇用は多く、おそらくコールセンターの要因と思われます。

規模的には従業員は少ない印象。

  従業員 臨時雇用 平均年齢(歳) 平均勤続年数(年) 平均年間給与(円)
提出会社の状況 363 291 36.4 5.8 4,289,000


10. 初値予想

 

1 市場 マザーズ
2 需給 2社
3 VC、SO VCなし
4 吸収金額 80億を超えかなり大きい、公募価格における時価総額約310億円とマザーズでも存在感あり
5 注目度 個人投資家になじみのあるあさくまと同時上場。人気やや分散するか
   
a 流動性 ★★★☆☆ (3)
b タイミング ★★★☆☆ (3)
c 事業内容 ★★☆☆☆ (2)
d 注目度 ★★★★☆ (4)
e 財務安全度 ★★★☆☆ (3)
f 初値予想 EPS110円にたいして、2,200円程度か.

 

 

 

 

 

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※1~※3 目論見書、有価証券報告書から引用
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