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大英産業(2974) 初値予想/分析 2019年6月4日(火)福証上場

1. 基礎データ

九州を中心とするマンションデベロッパー。

主に、マンション販売する①マンション事業と②戸建住宅などを販売する住宅事業から構成されています。

 

販売エリアは、九州を中心としているが、一部山口県でも販売しています。

マンションの供給実績は7000戸を超えており、規模はそこそこ大きい。帝国データバンクの調査では、2017年の販売実績は九州エリア2位であり、直近の業績も比較的好調である。

 

 

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※1

 

 

 

会社名 大英産業株式会社
所在地 北九州市八幡西区下上津役4丁目1番36号
設立 1968年11月28日
代表者名 代表取締役
大園 信
資本金等 9,800万円
社員数 221名
事業内容 新築分譲マンションの企画販売
新築一戸建住宅の企画販売
宅地開発、造成、販売
住宅建築請負
中古住宅の企画販売
住宅リフォームの企画、設計、施工

 

 

2. 成長企業判定

マンションのデベロッパーであり、売上、利益ともにばらつきが大きい。

今期の予想は、売上、経常利益ともに比較的良い数字が出ているが、成長企業とは言い難い。

 

 

  売上 成長率 経常利益 成長率 成長率合計 判定
2016/09 25,270   856      
2017/09 23,396 7% 1,030 20% 28% ×
2018/09 27,831 19% 971 9% 28% ×
2019/9予 31,113 12% 1,813 87% 99%
           

 

※40%ルール 「売上高の成長率」+「営業利益率」の値が40%を超えるかどうか
例:
企業の売上高の成長率が100%・・・営業利益率が▲60%まで
企業の売上高の成長率が40% ・・・営業利益率が0%以上
企業の売上高の成長率が20% ・・・営業利益率が20%以上

 

3. 上場スケジュールと想定価格

単独上場で、注目は集まりやすいが、地方市場上場のため、短期的な人気にとどまりやすい。また業種もやや不人気の不動産セクター。

 

 
仮条件決定日   2019/05/16(木)
抽選申込期間 2019/05/20(月) 2019/05/24(金)
公募価格決定   2019/05/27(月)
購入申込期間 2019/05/28(火) 2019/05/31(金)
上場日   2019/06/04(火)
想定価格(円)   1,500
公募価格決定(円)   1,520
想定価格からの上昇率   1.3%

売出比率は低く、当社の財務状態は有利子負債も多いため、自己資本を厚くするための目的もありそう。

 

 

公募株式数(単位:株) 435,000
公募(単位:株) 312,000
売出(単位:株) 123,000
売出比率 28.28%
オーバーアロットメント(単位:株) 15,000
発行済株数 3,252,000
オファリングレシオ 13.84%

 

4. 手取金の使途

おおむね4億円の資金調達となるが、借入金返済のためとあります。

これは、公募増資にはあまり応じたくないパターンで、資本コストを意識していない可能性があります。

 

上記の差引手取概算額415,948千円については、「1 新規発行株式」の(注)3.に記載の第三者割当増資の差引手取概算額上限20,286千円を合わせて、マンション事業における分譲マンションプロジェクト借入金返済に充当することを予定しております。

 

具体的には、2019年8月に竣工する「サンパーク長者原駅前グラッセ(福岡県糟屋郡総55戸)」のプロジェクト資金として借入している一年内返済予定の長期借入金589,000千円の繰上返済を2019年7月に行う方針であります。 また、上記調達資金は、具体的な充当時期までは、安全性の高い金融商品等で運用していく方針であります。※2

 

 

 

5. 財務データ

 

有利子負債が20億円弱あり、マンションデベロッパーらしく財務はあまり良くない。

今回の公募での調達でやや改善するものの、事業拡大する場合は、財務悪化には注意が必要です。

 

福岡の不動産価格も比較的良い状況が続いており足元の業績は好調。

今後も着実に良い土地を仕入れることができるかに当社の業績のカギがあります。

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 ※3

 

6. リスク分析

①有利子負債については、明記されており、依存度が高いことがわかります。

 

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※4

②3月に業績が変調することから、その点は注意が必要で、マンションが売れるタイミングによって大きく業績がぶれます。

 

③訴訟を購入者から起こされていることも記載がありますが、どの程度の規模かは不明です。この点も注意が必要です。

 

 

 

7. 株主構成

 一族で大きく保有しており、安定株主として存在していますが、一方で保有比率が高いために放漫経営になってないかは注意が必要です。

配当性向や、株価を意識したIRがなされるか注目されます。

 

ロックアップ強め、ベンチャーキャピタルはいません。

 

株主名 株数 売出 比率
大園 信 1,441,800   44.4
一ノ瀬 知子 821,400   25.3
大園 英彦 300,000   9.2
つむぐ(株) 285,000   8.8
大英産業従業員持株会 72,840   2.2
宮地 弘行 52,350   1.6
一ノ瀬 謙二 41,685   1.3
岡本 達暁 24,975   0.8
茅原 嘉晃 24,975   0.8
竹内 和紀 24,975   0.8
上位10名合計 3,090,000 0 95.2
     
株主名 VC LU(日数) LU(株価)
大園 信   180  
一ノ瀬 知子   180  
大園 英彦   180  
つむぐ(株)   180  
大英産業従業員持株会      
宮地 弘行   180  
一ノ瀬 謙二   180  
岡本 達暁   180  
茅原 嘉晃   180  
竹内 和紀   180  

 

 

※LU= ロックアップ
VCは、ベンチャーキャピタルの略、推測含む。
ロックアップは、「鍵を掛ける」という意味で、その銘柄の大株主等が、「公開後の一定期間、市場で持株を売却しない」旨、公開前に契約を交わす制度です。

基本的には、期間と価格の両方の条件が記載の際はどちらか一方が条件をクリアすれば株式保有者は売ることができます。


8. 主幹事証券

 

主幹事は、久々のエイチエス証券

シンジケート 証券会社名 割当数(株) 割当(%)
主幹事証券 エイチ・エス証券 304,400 70.0
引受証券 SMBC日興証券 30,500 7.0
引受証券 岡三証券 26,100 6.0
引受証券 SBI証券 26,100 6.0
引受証券 FFG証券 17,400 4.0
引受証券 西日本シティTT証券 17,400 4.0
引受証券 マネックス証券 8,700 2.0
引受証券 ひろぎん証券 4,400 1.0


9. 提出会社の状況

比較的年齢も若く、地方の企業の平均年収としてはやや高め。

 

  従業員 臨時雇用 平均年齢(歳) 平均勤続年数(年) 平均年間給与(円)
提出会社の状況 221 93 35.2 5.95 4,874,103


10. 初値予想

地方上場、不人気セクターですが、単独上場で需給は読みにくい。

1500円と初値予想します。

 

 

初値高騰する案件ではないと思いますので、もしかしたらセカンダリーに妙味があるかもとは考えています。

 

ただし、直近の配当性向は10%程度。仮に今期も10%程度だと40円程度の配当しかなく、ほかの不動産株としても見劣りする可能性が高いです。

 

個人的には、公募も見送り、セカンダリーも見送り。

(ただし、公募割れであれば再考します。)

 

1 市場 福証
2 需給 1社
3 VC、SO VCなし
4 吸収金額 7億と小型、公募価格における時価総額約49億円
5 注目度 マンションデベロッパー。人気化はしなさそう
   
a 流動性 ★★☆☆☆ (2)
b タイミング ★★★★☆ (4)
c 事業内容 ★★☆☆☆ (2)
d 注目度 ★★☆☆☆ (2)
e 財務安全度 ★★☆☆☆ (3)
f 初値予想 EPS394円にたいして、需給の観点からも4倍程度 1500円程度か

 

 

11.読者アンケート

 

↓良かったご参加ください↓

初値予想
~1,400
1,400~1,520
1,520~1,650(公募1520)
1,650~1,800
1,800~
 
 

↓もう一つ記事はいかがでしょうか↓

 
オファリング・レシオ=(公募株+売出株)÷発行済株式総数

 

※1~※4 目論見書、有価証券報告書から引用
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