ビーアンドピー(7804)の初値予想/分析 2019年7月24日(水)上場
1. 基礎データ
大型のインクジェットプリンターを使った、インクジェット出力関係が主な事業。
主たる事業は以下3つ。
①販売促進用の広告物、
②プリントシール向けのカーテン(恐らくフリュー向け)
③インテリアメーカー向けの生活資材
比較的利益率が高いビジネスを手掛けています。
その理由としては、「広い地域であらゆる業界からの受注を目指すのではなく、広告代理店、広告制作会社、印刷会社、デザイン会社、屋外サイン業者に的を絞り、そうした顧客が集中する都心部の狭い地域において受注占有率で地域NO.1になることを基本方針」としており、拡大戦略ではなく、選択と集中により利益をしっかり確保戦略することを目標としています。
直近売上が急激に伸びていますが、これはニコールによる買収によるものだと推測されます。
平成28年11月 株式会社ニコールを買収し100%子会社とする。プリントシール機の外装カーテン、壁紙等の生活資材製品が取扱製品に加わる ※1
販売実績の箇所をみるとフリューへの売上が10%程度しめており、これは推測ですが、利益に貢献しているものと思われます。
※2
会社名 | 株式会社 ビーアンドピー |
---|---|
所在地 | [大阪本店] 〒550-0002 大阪府大阪市西区江戸堀2丁目6-33 江戸堀フコク生命ビル3F |
設立 | 1985年 10月 |
代表者名 | 代表取締役 和田山 朋弥 |
資本金 | 10,000千円 |
従業員数 | 190名 (2019年5月現在) |
事業内容 | 販売促進用サインディスプレイの制作 屋外用大型サイン・広告の制作 建物の内装、インテリア用品の出力、制作 広告企画および制作に関する提案業務 |
2. 成長企業判定
正確にはわかりませんが、連結決算になっていることがM&Aによる売上、利益の拡大に寄与している模様。
どちらかというと地味ですが、利益はしっかり残せている中堅企業の印象。
ただし、手取金の使途にあるようにM&Aは行っていくとのことで、今後拡大戦略を継続していくことも考えられます。
売上 | 成長率 | 経常利益 | 成長率 | 成長率合計 | 判定 | |
2016/10 | 1,826 | 350 | ||||
2017/10 | 1,945 | 7% | 376 | 7% | 14% | × |
2018/10 | 2,407 | 24% | 553 | 47% | 71% | 〇 |
2019/10予 | 3,150 | 31% | 549 | 1% | 32% | × |
※40%ルール 「売上高の成長率」+「営業利益率」の値が40%を超えるかどうか
例:
企業の売上高の成長率が100%・・・営業利益率が▲60%まで
企業の売上高の成長率が40% ・・・営業利益率が0%以上
企業の売上高の成長率が20% ・・・営業利益率が20%以上
3. 上場スケジュールと想定価格
単独上場であり、かなり注目されることは必至。
やや地味でもありますが、利益をしっかり残していることは評価されそう。
自 | 至 | |
仮条件決定日 | 2019/07/03(水) | |
抽選申込期間 | 2019/07/05(金) | 2019/07/11(木) |
公募価格決定 | 2019/07/12(金) | |
購入申込期間 | 2019/07/16(火) | 2019/07/19(金) |
上場日 | 2019/07/24(水) | |
想定価格(円) | 1,900 | |
公募価格決定(円) | 2,000 | |
想定価格からの上昇率 | 5.3% |
公募株式数(単位:株) | 600,000 |
---|---|
公募(単位:株) | 300,000 |
売出(単位:株) | 300,000 |
売出比率 | 50.00% |
オーバーアロットメント(単位:株) | 90,000 |
発行済株数 | 2,300,000 |
オファリングレシオ | 30.00% |
4. 手取金の使途
凡そ5億円強の手取金。
以下①~③に3.5億円程度
①インクジェット出力機器への設備投資
②新規拠点設立費用
③ECサイト用の設立費用。
残りは、成長戦略への投資ということで、M&Aを行っていくとのこと。
過去のM&Aは成功しているような印象ですので、M&Aの成功については期待していきたいです。
5. 財務データ
財務的には、流動比率も高く、有利子負債もほぼないため、特に問題はありません。
手堅いビジネスをしてきたバランスシートに見えます。
不景気になった際にどの程度売上が落ち込むのか、利益が減るのかが気になる所です。
※3
6. リスク分析
①売上に占める取引先10社の割合が大きいこと。
30%を超えていますがのでこの10社の契約解除があった場合は痛手となります。
当社の顧客構成において、取引先10社の売上が売上高の30%を占めております。当社では、特定取引先へ依存しない経営方針をとり売上高の取引先による偏りを低減させるよう努めております。※4
②景気低迷による広告業界の低迷。
景気には敏感なセクター。今後不景気が来た場合は影響を受ける可能性があります。
当社の業績については、日本国内市場における広告宣伝活動の需要に大きく影響を受けます。国内経済の低迷が長期化した場合は、企業収益の減少に伴い、企業は広告宣伝活動を縮小する傾向 ※5
③季節要因
以下の通り、相手先との取引の関係もあり、第2、第4四半期に売上がやや偏ります。
※6
7. 株主構成
一族で占めており、ベンチャーキャピタルはなし。
売出もそこまで多くはなく、今後の成長意欲も高いといえそうです。
株主名 | 株数 | 売出 | 比率 |
---|---|---|---|
英知興産(株) | 1,900,000 | 230,000 | 91.8 |
和田山 英一 | 30,000 | 10,000 | 1.5 |
和田山 朋弥 | 30,000 | 20,000 | 1.5 |
和田山 恵子 | 20,000 | 20,000 | 1.0 |
和田山 陽子 | 10,000 | 10,000 | 0.5 |
和田山 順子 | 10,000 | 10,000 | 0.5 |
小林 恒文 | 4,800 | 0.2 | |
中村 祐輔 | 2,400 | 0.1 | |
高橋 正幸 | 2,400 | 0.1 | |
長谷川 浩司 | 2,300 | 0.1 | |
上位10名合計 | 2,011,900 | 300,000 | 97.2 |
株主名 | VC | LU(日数) | LU(株価) |
英知興産(株) | 180 | ||
和田山 英一 | 180 | ||
和田山 朋弥 | 180 | ||
和田山 恵子 | |||
和田山 陽子 | |||
和田山 順子 | |||
小林 恒文 | |||
中村 祐輔 | |||
高橋 正幸 | |||
長谷川 浩司 |
※LU= ロックアップ
VCは、ベンチャーキャピタルの略、推測含む。
ロックアップは、「鍵を掛ける」という意味で、その銘柄の大株主等が、「公開後の一定期間、市場で持株を売却しない」旨、公開前に契約を交わす制度です。
基本的には、期間と価格の両方の条件が記載の際はどちらか一方が条件をクリアすれば株式保有者は売ることができます。
8. 主幹事証券
いちよし主幹事。やや珍しいです。
シンジケート | 証券会社名 | 割当数(株) | 割当(%) |
---|---|---|---|
主幹事証券 | いちよし証券 | 450,000 | 75.0 |
引受証券 | 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 | 42,000 | 7.0 |
引受証券 | SMBC日興証券 | 30,000 | 5.0 |
引受証券 | 大和証券 | 30,000 | 5.0 |
引受証券 | 極東証券 | 12,000 | 2.0 |
引受証券 | マネックス証券 | 12,000 | 2.0 |
引受証券 | 岩井コスモ証券 | 6,000 | 1.0 |
引受証券 | SBI証券 | 6,000 | 1.0 |
引受証券 | エース証券 | 6,000 | 1.0 |
引受証券 | 東洋証券 | 6,000 | 1.0 |
9. 提出会社の状況
利益もしっかり残せている企業ですが、給与もそれなりに高い水準。
この点も評価できそうです。
従業員 | 臨時雇用 | 平均年齢(歳) | 平均勤続年数(年) | 平均年間給与(円) | |
提出会社の状況 | 190 | 9 | 33.9 | 5.5 | 5,304,326 |
10. 初値予想
単独上場で注目はされそうですが、やや地味な印象。
手堅く稼いでいる点は評価され、PER20倍程度までは評価されるか。
直近IPOは軟調であり、その点を加味して3000円~3300円程度の初値を予想しています。
1 | 市場 | マザーズ |
---|---|---|
2 | 需給 | 1社 |
3 | VC、SO | VCなし |
4 | 吸収金額 | 吸収金額14億円、公募価格における時価総額約46億円 |
5 | 注目度 | やや地味ですが、手堅い印象。比較的低めの価格設定も評価 |
a | 流動性 | ★★★★☆ (4) |
b | タイミング | ★★★★★ (5) |
c | 事業内容 | ★★★☆☆ (3) |
d | 注目度 | ★★★☆☆ (3) |
e | 財務安全度 | ★★★★☆ (4) |
f | 初値予想 | EPS178円にたいして、PER 20弱、3000円~3300円程度か |
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※1~※6 目論見書、有価証券報告書から引用
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