トビラシステムズ(4441) 初値予想/分析 2019年4月25日(木)
1. 基礎データ
2006年創業の新しい企業。
主にモバイル向けセキュリティ関連事業で急成長中。
継続利用型(サブスクリプション型)のビジネスモデルで、200万人以上の利用がある。
※1
会社名 | トビラシステムズ株式会社 |
---|---|
所在地 | 愛知県名古屋市中区錦2-5-12 パシフィックスクエア名古屋錦3F |
設立 | 2006年12月1日 |
代表者名 | 代表取締役社長 明田 篤 |
資本金 | 6,570万円 |
事業内容 | 迷惑情報フィルタ事業 |
2. 成長企業判定
売上、利益ともに順調に推移、成長企業として判定は合格といえます。
売上 | 成長率 | 経常利益 | 成長率 | 成長率合計 | 判定 | |
2016/10 | 275 | 11 | ||||
2017/10 | 591 | 115% | 192 | 115% | 〇 | |
2018/10 | 842 | 42% | 222 | 16% | 58% | 〇 |
2019/10予 | 902 | 7% | 318 | 43% | 50% | 〇 |
※40%ルール 「売上高の成長率」+「営業利益率」の値が40%を超えるかどうか
例:
企業の売上高の成長率が100%・・・営業利益率が▲60%まで
企業の売上高の成長率が40% ・・・営業利益率が0%以上
企業の売上高の成長率が20% ・・・営業利益率が20%以上
3. 上場スケジュールと想定価格
2社重複上場。GW前の価格形成となります。
自 | 至 | |
仮条件決定日 | 2019/04/05(金) | |
抽選申込期間 | 2019/04/09(火) | 2019/04/15(月) |
公募価格決定 | 2019/04/16(火) | |
購入申込期間 | 2019/04/18(木) | 2019/04/23(火) |
上場日 | 2019/04/25(木) | |
想定価格(円) | 2,040 | |
公募価格決定(円) | 2,400 | |
想定価格からの上昇率 | 17.6% |
売出が多いが、財務的に資金が必要となる可能性は低そうで、借入の対応も可能とみています。
公募株式数(単位:株) | 784,000 |
---|---|
公募(単位:株) | 95,000 |
売出(単位:株) | 689,000 |
売出比率 | 87.88% |
オーバーアロットメント(単位:株) | 117,600 |
発行済株数 | 3,215,000 |
オファリングレシオ | 28.04% |
4. 手取金の使途
約5億円弱にたいしては、サーバ機器への投資約1億円、ソフトウェア開発に対して2億円が大きなものとなりそう。
① サーバ機器及び検証用端末等のシステムインフラ設備の増強にかかる設備投資費として106,520千円(2019年10月期:16,520千円、2020年10月期:47,850千円、2021年10月期:42,150千円)
② 新規ソフトウエア開発等のための自社利用ソフトウエアの購買費用として4,500千円(2019年10月期:1,500千円、2020年10月期:1,500千円、2021年10月期:1,500千円)
③ 技術部人員の人材確保にかかる採用費として24,290千円(2019年10月期:6,120千円、2020年10月期:7,130千円、2021年10月期:11,040千円)
④ 新規ソフトウエアの開発費用として196,360千円(2019年10月期:34,120千円、2020年10月期:64,230千円、2021年10月期:98,010千円)
⑤ モバイル向けトビラフォンサービス及びビジネスフォン向け「トビラフォンBiz」の新機能開発等にかかる研究開発費として12,620千円(2019年10月期:12,620千円)
⑥ 事業及び人員拡大に伴う本社オフィス移転にかかる原状回復費等及び新事務所の敷金として23,000千円(2020年10月期:23,000千円)※2
5. 財務データ
成長企業ですが、利益も順調に増加しており、このままの成長が続くかにフォーカスしそう。財務的には、ネットで見ると借金もなく財務的な問題は見受けられません。
※3
6. リスク分析
売上が、携帯事業会社3社に集中していること。つまり、ソフトバンク、ドコモ、KDDIに依存しているビジネスモデルであり、何らかの理由により、大手3事業者と取引できなくなることはリスクとなります。
当社の迷惑情報フィルタ事業の主要取引先は、大手通信キャリアであるソフトバンク株式会社、株式会社NTTドコモ及びKDDI株式会社であり、これら特定の取引先に対する売上高は、第12期事業年度において7割以上を占めており、当該特定取引先への依存度は高い状況にあります。※4
また、競合も多いこともリスクとして挙げられそうです。
7. 株主構成
VCはなく、ロックアップもかかっており、その点は評価できます。
社長の売出がやや多い点が気になる程度でしょうか。
株主名 | 株数 | 売出 | 比率 |
---|---|---|---|
明田 篤 | 2,407,800 | 595,000 | 71.7 |
松下 智樹 | 661,800 | 94,000 | 19.7 |
後藤 敏仁 | 135,400 | 4.0 | |
結城 卓也 | 25,000 | 0.7 | |
岩井 健治 | 25,000 | 0.7 | |
坂倉 翼 | 25,000 | 0.7 | |
(株)Kips | 20,000 | 0.6 | |
藤井 智康 | 15,000 | 0.5 | |
佐々木 貴浩 | 6,000 | 0.2 | |
菊地 耕平 | 3,000 | 0.1 | |
上位10名合計 | 3,324,000 | 684,000 | 98.9 |
株主名 | VC | LU(日数) | LU(株価) |
明田 篤 | 90 | 1.5 | |
松下 智樹 | 90 | 1.5 | |
後藤 敏仁 | 90 | 1.5 | |
結城 卓也 | 90 | 1.5 | |
岩井 健治 | 90 | 1.5 | |
坂倉 翼 | 90 | 1.5 | |
(株)Kips | 90 | 1.5 | |
藤井 智康 | |||
佐々木 貴浩 | |||
菊地 耕平 |
※LU= ロックアップ
VCは、ベンチャーキャピタルの略、推測含む。
ロックアップは、「鍵を掛ける」という意味で、その銘柄の大株主等が、「公開後の一定期間、市場で持株を売却しない」旨、公開前に契約を交わす制度です。
基本的には、期間と価格の両方の条件が記載の際はどちらか一方が条件をクリアすれば株式保有者は売ることができます。
8. 主幹事証券
本件は大和主幹事案件。
シンジケート | 証券会社名 | 割当数(株) | 割当(%) |
---|---|---|---|
主幹事証券 | 大和証券 | 667,300 | 85.1 |
引受証券 | みずほ証券 | 23,400 | 3.0 |
引受証券 | SMBC日興証券 | 23,400 | 3.0 |
引受証券 | SBI証券 | 15,600 | 2.0 |
引受証券 | 東海東京証券 | 15,600 | 2.0 |
引受証券 | いちよし証券 | 15,600 | 2.0 |
引受証券 | 岡三証券 | 7,700 | 1.0 |
引受証券 | エース証券 | 7,700 | 1.0 |
引受証券 | マネックス証券 | 7,700 | 1.0 |
9. 提出会社の状況
比較的年収が高い人材となっていますが、今後拡大するにあたっては、年収も高騰していきそうです。
従業員 | 臨時雇用 | 平均年齢(歳) | 平均勤続年数(年) | 平均年間給与(円) | |
提出会社の状況 | 43 | 13 | 33.1 | 2.94 | 4,974,000 |
10. 初値予想
初値が高騰しそうな案件になりそうです。
ただし、時価総額は公募時点で77億円となっており、今後の成長が確かなものなのか。既にユーザーはそれなり(200万以上)いるので、拡大が可能かどうかに焦点があたりそうです。
例えば、1000万以上のユーザー確保が見込めるなら、200万はまだまだですし、そのあたりのところの説明がなく、中期経営計画による開示が期待されます。
また、オプションパックなどで、儲けていることは理解できますが、どの程度の利益率なのか(利益配分はいくらなのか)も開示してほしいポイントです。
サブスクリプション、セキュリティと話題の中心となる銘柄ですし、1Q時点でも利益はしっかり出ているので、今後どの程度の成長が見込めるか更なる開示と計画を期待します。
1 | 市場 | マザーズ |
---|---|---|
2 | 需給 | 2社 |
3 | VC、SO | VCはなし |
4 | 吸収金額 | 21億と中型、公募価格における時価総額約77億円 |
5 | 注目度 | セキュリティ関係、急成長、利益率高めと人気化条件は高い |
a | 流動性 | ★★★☆☆ (3) |
b | タイミング | ★★★☆☆ (3) |
c | 事業内容 | ★★★★☆ (4) |
d | 注目度 | ★★★★☆ (4) |
e | 財務安全度 | ★★★★☆ (4) |
f | 初値予想 | EPS65円にたいして、需給の観点からも80倍程度 5200円程度か |
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オファリング・レシオ=(公募株+売出株)÷発行済株式総数
※1~※4 目論見書、有価証券報告書から引用
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