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ヴィッツ(4440) 初値予想/分析 2019年4月8日(月)上場

1. 基礎データ

 

組込関係に強いヴィッツ(4440)

取引先にもアイシン、トヨタなど大手が並びます。

自動車関係の売上が大きいことも想定され、今後、景気が後退した場合においては影響を受けやすい産業かもしれません。

また、シャープ、パナソニックとも取引があり、システム関係の開発業務もこなしています。

 

 

会社名 株式会社ヴィッツ
所在地 〒460-0008
名古屋市中区栄2-13-1
名古屋パークプレイス 1F (※旧白川第2ビル)
設立 平成9年6月
代表者名 代表取締役社長  服部 博行
資本金 8858万9000円
事業内容 組込みソフトウェアの研究・設計・開発
リアルタイムオペレーティングシステムの研究開発
ITソリューションソフトウェアの設計
主要取引先 アイシン精機株式会社
オークマ株式会社
ガイオ・テクノロジー株式会社
国立研究開発法人産業技術総合研究所
シャープ株式会社
トヨタ自動車株式会社
トヨタテクニカルディベロップメント株式会社
パナソニック株式会社
パナソニック アドバンストテクノロジー株式会社
株式会社ホンダロック
メンター・グラフィックス・ジャパン株式会社
菱電商事株式会社

 

2. 成長企業判定

 

組込、システム関係ということで、成長はしているのですが、急拡大ではなく着実に成長している印象です。

成長企業判定は三期とも×。

 

  売上 成長率 経常利益 成長率 成長率合計 判定
2016 1,790   172      
2017 2,166 21% 208   21% ×
2018 2,375 10% 223 7% 17% ×
2019 2,539 7% 268 20% 27% ×

※40%ルール 「売上高の成長率」+「営業利益率」の値が40%を超えるかどうか
例:
企業の売上高の成長率が100%・・・営業利益率が▲60%まで
企業の売上高の成長率が40% ・・・営業利益率が0%以上
企業の売上高の成長率が20% ・・・営業利益率が20%以上

 

3. 上場スケジュールと想定価格

 

スケジュール自体は、最高のタイミングですね。

閑散期、単独上場、暫くIPOなしと三拍子揃っています。

 

 
仮条件決定日   2019/03/18(月)
抽選申込期間 2019/03/20(水) 2019/03/27(水)
公募価格決定   2019/03/28(木)
購入申込期間 2019/03/29(金) 2019/04/03(水)
上場日   2019/04/08(月)
想定価格(円)   2,260
公募価格決定(円)   2,650

 

吸収金額10億円程度。

どちらかというと公募の印象もないのですが、売出比率は低め。

成長意欲はあるととらえて良いかもしれませんが、成長可能性等の資料を確認する必要があります。

 

公募株式数(単位:株) 400,000
公募(単位:株) 340,000
売出(単位:株) 60,000
売出比率 15.00%
オーバーアロットメント(単位:株) 60,000
発行済株数 1,807,000
オファリングレシオ 25.46%

 

4. 手取金の使途

三者割当増資と併せて、9.67億円の手取資金。

①設備資金

基幹システムとセキュリティ強化に、7300万円程度

 

②運転資金

研究開発費と新規事業向け資金に残りの9億円程度となっていますが、研究開発費は、平成33年がメインと相当先であり、今回の資金調達は少しわからないところもあります。(今すぐ資金がいらないのではないか)

 

 

① 設備資金 基幹システム整備・情報セキュリティ強化のための設備投資資金として73,000千円

 

平成31年8月期12,000千円、平成32年8月期44,000千円、平成33年8月期17,000千円)、社員の増加に伴う事務所増床設備及び増床に伴う敷金として40,900千円(平成31年8月期14,300千円、平成33年8月期26,600千円)を充当する予定であります。

 

 

② 運転資金 組込ソフトウエア事業の次の事業化のための研究開発費として359,600千円(平成31年8月期50,000千円、平成32年8月期134,200千円、平成33年8月期175,400千円)、

 

主に組込システム事業におけるECUソフトウェア開発の拡大と、システムズエンジニアリング事業における人工知能の安全性コンサルティング事業育成のため、人材の採用・育成費及び知名度向上のための広告宣伝費として87,000千円

平成31年8月期29,000千円、平成32年8月期29,000千円、平成33年8月期29,000千円)、本社事務所増床に伴う家賃増加分として49,500千円(平成31年8月期6,300千円、平成32年8月期10,800千円、平成33年8月期32,400千円)を充当する予定であります。※1

 

 

 

5. 財務データ

 

バランスシートも特に傷んでいることはなく、実質無借金。

ただし、今回、公募で資金を調達する必要があったかは不透明です。

 

 

 

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※2

6. リスク分析

 

特定の取引先における売上依存

 

これは強みでもありますが、弱みともなります。

アイシン精機パナソニックの売上が大きく、自動車関連の業務が多いことは覚えておいたほうが良いです。

 

当社グループでは、アイシン精機株式会社グループとパナソニック株式会社グループからの売上高が増加しております。両グループから受注するソフトウェア開発の多くは自動車分野が大半を占めており、両グループを含む自動車分野での受注は当社売上高の32.3%となります。※3

 

7. 株主構成

 

役員の資産管理会社が大株主。

株主構成としてはベンチャーキャピタルも見当たらず、比較的良い構成のようです。

 

株主名 株数 売出 比率
(株)Office Hat 420,000 30,000 24.9
(株)SNA 380,000 30,000 22.5
アイシン精機(株) 150,000   8.9
オークマ(株) 150,000   8.9
森川 聡久 125,000   7.4
大西 秀一 125,000   7.4
武田 英幸 125,000   7.4
ヴィッツ従業員持株会 67,000   4.0
服部 博行 60,000   3.6
脇田 周爾 59,000   3.5
上位10名合計 1,661,000 60,000 98.3
     
株主名 VC LU(日数) LU(株価)
(株)Office Hat   180  
(株)SNA   180  
アイシン精機(株)   180  
オークマ(株)   180  
森川 聡久   180  
大西 秀一   180  
武田 英幸   180  
ヴィッツ従業員持株会      
服部 博行   180  
脇田 周爾   180  

 

 

 

※LU= ロックアップ
VCは、ベンチャーキャピタルの略、推測含む。
ロックアップは、「鍵を掛ける」という意味で、その銘柄の大株主等が、「公開後の一定期間、市場で持株を売却しない」旨、公開前に契約を交わす制度です。

基本的には、期間と価格の両方の条件が記載の際はどちらか一方が条件をクリアすれば株式保有者は売ることができます。

8. 主幹事証券

東海東京は積極的にIPOの主幹事を務めていますね。

 

シンジケート 証券会社名 割当数(株) 割当(%)
主幹事証券 東海東京証券 356,000 89.0
引受証券 SBI証券 16,000 4.0
引受証券 大和証券 12,000 3.0
引受証券 SMBC日興証券 8,000 2.0
引受証券 エース証券 4,000 1.0
引受証券 安藤証券 4,000 1.0

9. 提出会社の状況

組込系としては、給与自体はそれほど高くない印象。

東海地方で業務を続けるのに今後、人材採用はネックとなる可能性も。

 

  従業員 臨時雇用 平均年齢(歳) 平均勤続年数(年) 平均年間給与(円)
提出会社の状況 135   35.01 7.05 5,408,258

10. 初値予想

 

タイミング、株主構成は抜群に良いです。

ただし、事業自体は、特色は少ない印象。

需給で、初値高騰は予想されます。

PER45で、5000円~5200円と予想しますが、あくまで需給での予測です。

 

1 市場 マザーズ
2 需給 1社
3 VC、SO VCはなし
4 吸収金額 12億と小型~中型、公募における時価総額約50億円
5 注目度 業種自体は地味だが、スケジュール面で人気
   
a 流動性 ★★★☆☆ (3)
b タイミング ★★★★★ (5)
c 事業内容 ★★★☆☆ (3)
d 注目度 ★★★☆☆ (3)
e 財務安全度 ★★★☆☆ (3)
f 初値予想 5000円~5200円 EPS117円に対して、PER45程度

 


オファリング・レシオ=(公募株+売出株)÷発行済株式総数

 

※1~※3 目論見書、有価証券報告書から引用
※本レポートに掲載される内容は、コメント執筆時における筆者の見解・予測であります。また、提供する情報等は作成時現在のものであり、今後予告なしに変更又は削除されることがございます。
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