ピアズ(7066)の初値予想/分析 2019年6月20日(木)上場
1. 基礎データ
通信業界におけるコンサルティング事業を主に行っています。
セグメントは一つであるものの、以下3つのサービスに分かれており、主には携帯ショップ向けのコンサルティングサービスとなっています。
①コンサルティングサービス
具体的には、販売代理店が運営するキャリアショップ(通信キャリアのブランドを冠した販売店)や家電量販店に対し、販売を委託する通信キャリアに代わり、業界知見や販売経験を有する当社コンサルタントが、各店舗において抱えている運営課題や販売課題に対するオリジナルの研修プログラムを提案し、アドバイザーとしての教育サポートを行っています。
②人材ソリューション
協力会社を活用しながらも同社が移動体通信機器の販売の現場に携わってきた経験から培ってきたノウハウをもとに、販売現場での販売促進やプロモーションイベント開催における業務を請け負っていまs。
③ITソリューション
通信キャリアの提供する商材やサービスの多様化に対応し、当社のコンサルタントが有するセールススキルやノウハウを動画コンテンツやアプリケーションとして提供しています。
会社名 | ピアズ |
---|---|
所在地 | [東京本社] 〒105-0003 東京都港区西新橋2-9-1 PMO西新橋5F |
設立 | 2005年 1月 |
代表者名 | 代表取締役 桑野隆司 |
資本金等 | 8,000万円 |
社員数 | 78名(2019年3月31日現在) |
役員 | 代表取締役桑野隆司 専務取締役吉井雅己 常務取締役井之坂亮之 取締役堂前晋平 取締役立石公彦 取締役佐々拓也 取締役(社外)藤武寛之 常勤監査役二階堂京介 非常勤監査役(社外)植村亮仁 非常勤監査役(社外)猪野由紀夫 |
事業内容 | 店舗コンサルティング(組織作り) 人財ソリューション(専門家派遣) ITソリューション(能率性向上) |
2. 成長企業判定
成長判定は、2018年9月期やや鈍化しているものの、売上、利益ともにかなり好調な様子がうかがえます。
また利益率も20%程度とかなり高く、携帯電話の販売店の需要が高いといえそうです。
売上 | 成長率 | 経常利益 | 成長率 | 成長率合計 | 判定 | |
2016/09 | 1,452 | 183 | ||||
2017/09 | 1,873 | 29% | 303 | 66% | 95% | 〇 |
2018/09 | 1,994 | 6% | 413 | 9% | 15% | × |
2019/9予 | 2,684 | 35% | 503 | 22% | 56% | 〇 |
※40%ルール 「売上高の成長率」+「営業利益率」の値が40%を超えるかどうか
例:
企業の売上高の成長率が100%・・・営業利益率が▲60%まで
企業の売上高の成長率が40% ・・・営業利益率が0%以上
企業の売上高の成長率が20% ・・・営業利益率が20%以上
3. 上場スケジュールと想定価格
Sansanの大型上場の後、ただし単独上場であり、人気化はしそう。
公開価格はやや強気の設定となっています。
自 | 至 | |
仮条件決定日 | 2019/06/04(火) | |
抽選申込期間 | 2019/06/05(水) | 2019/06/11(火) |
公募価格決定 | 2019/06/12(水) | |
購入申込期間 | 2019/06/13(木) | 2019/06/18(火) |
上場日 | 2019/06/20(木) | |
想定価格(円) | 3,820 | |
公募価格決定(円) | 3,620 | |
想定価格からの上昇率 | -5.2% |
公募、売出の割合はほぼ半々。
ベンチャーキャピタルもなく、売出によるイグジット感もすくないため内容はバランスがとれていそうです。
公募株式数(単位:株) | 386,500 |
---|---|
公募(単位:株) | 207,000 |
売出(単位:株) | 179,500 |
売出比率 | 46.44% |
オーバーアロットメント(単位:株) | 57,900 |
発行済株数 | 2,175,000 |
オファリングレシオ | 20.43% |
4. 手取金の使途
凡そ7億円の資金使途については、システム開発費用がメインとなっています。
残額は、オフィス移転費用及び採用費用です。
① コンサルティング事業の強化・拡充を目的とした新たなシステム開発費用として270,000千円(2019年9月期:20,000千円、2020年9月期:100,000千円、2021年9月期:150,000千円)
② 業務効率化を目的とした基幹情報システム開発費用として250,000千円(2020年9月期:200,000千円、2021年9月期:50,000千円)
③ 従業員の増加に伴う本社のオフィス移転費用として2020年9月期に70,000千円 ④ 事業の拡大に伴う人材確保に係る人件費及び採用費として126,900千円(2020年9月期:70,000千円、2021年9月期:56,900千円) 残額につきましては、金融機関からの借入金の返済資金に充当する予定 ※1
5. 財務データ
財務的には特に問題ない内容。
現金も多く、コンサルティング事業をメインにやっており資金繰りも問題ない状況。
売上と利益も連動して伸びている。
※2
6. リスク分析
ドコモ向け売上に集中しており、万が一ドコモから契約がなくなると大きく売上を失うことになります。
当社の主要な受託先は、NTTドコモグループ(株式会社NTTドコモ及びその企業集団に属する会社を指します。)であり、当社の売上高実績に対する依存度は2017年9月期69.8%、2018年9月期60.0%と高い割合になっております。
今後とも当社は、取引先ニーズの先取り、及び幅広い事業展開により同グループとの良好な関係を維持し、取引の維持・拡大に努める方針でありますが、同グループとの永続的な取引が確約されているものではなく、万一、同グループとの間において、契約条件の重要な変更が生じたり取引高が大幅に減少した場合等には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。※3
また、3Qは季節要因で売上が小さくなっています。ここにも注意が必要です。
7. 株主構成
ベンチャーキャピタルもなく、社長の資産管理会社が筆頭株主。株主構成としては安定してそうで、またロックアップもしっかりかかっています。
株主名 | 株数 | 売出 | 比率 |
---|---|---|---|
(株)3-SHINE | 1,200,000 | 54.7 | |
桑野 隆司 | 304,500 | 151,000 | 13.9 |
吉井 雅己 | 60,000 | 6,000 | 2.7 |
井之坂 亮之 | 60,000 | 6,000 | 2.7 |
二階堂 京介 | 60,000 | 6,000 | 2.7 |
堂前 晋平 | 45,000 | 3,600 | 2.1 |
立石 公彦 | 39,000 | 3,900 | 1.8 |
植村 亮仁 | 31,500 | 1.4 | |
細木 祐孝 | 31,500 | 1.4 | |
(株)コスモヒューマンズ | 30,000 | 1.4 | |
上位10名合計 | 1,861,500 | 176,500 | 84.9 |
株主名 | VC | LU(日数) | LU(株価) |
(株)3-SHINE | 180 | ||
桑野 隆司 | 180 | ||
吉井 雅己 | 180 | ||
井之坂 亮之 | 180 | ||
二階堂 京介 | 180 | ||
堂前 晋平 | 180 | ||
立石 公彦 | 180 | ||
植村 亮仁 | 180 | ||
細木 祐孝 | |||
(株)コスモヒューマンズ | 90 | 1.5 |
※LU= ロックアップ
VCは、ベンチャーキャピタルの略、推測含む。
ロックアップは、「鍵を掛ける」という意味で、その銘柄の大株主等が、「公開後の一定期間、市場で持株を売却しない」旨、公開前に契約を交わす制度です。
基本的には、期間と価格の両方の条件が記載の際はどちらか一方が条件をクリアすれば株式保有者は売ることができます。
8. 主幹事証券
SMBC主幹事案件。
シンジケート | 証券会社名 | 割当数(株) | 割当(%) |
---|---|---|---|
主幹事証券 | SMBC日興証券 | 348,300 | 90.1 |
引受証券 | 大和証券 | 11,500 | 3.0 |
引受証券 | みずほ証券 | 9,600 | 2.5 |
引受証券 | 東海東京証券 | 5,700 | 1.5 |
引受証券 | SBI証券 | 3,800 | 1.0 |
引受証券 | 岩井コスモ証券 | 3,800 | 1.0 |
引受証券 | 楽天証券 | 1,900 | 0.5 |
引受証券 | 極東証券 | 1,900 | 0.5 |
9. 提出会社の状況
平均給与は500万円とコンサル業界としてはそこそこでしょうか。
年齢も若い人員が多いため、これからの成長企業として期待できそうです。
従業員 | 臨時雇用 | 平均年齢(歳) | 平均勤続年数(年) | 平均年間給与(円) | |
提出会社の状況 | 78 | 11 | 31.5 | 3.71 | 4,978,000 |
10. 初値予想
時価総額としては、80億円程度となっており、吸収金額から中型程度のIPO案件。
単独上場、ベンチャーキャピタルなしという良条件から比較的良い初値がつきそう。
EPSが161円(2019年9月期)からPER30倍程度の初値を想定すると4,800円程度。
もう少し高い初値が付きそうな可能性もありますが、4,800円~5,000円程度のレンジで初値予想とします。
1 | 市場 | マザーズ |
---|---|---|
2 | 需給 | 1社 |
3 | VC、SO | VCなし |
4 | 吸収金額 | 17億と中型、公募価格における時価総額約80億円 |
5 | 注目度 | 利益率も高く、単独上場、人気化しそうな業種である |
a | 流動性 | ★★★☆☆ (3) |
b | タイミング | ★★★★☆ (4) |
c | 事業内容 | ★★★★☆ (4) |
d | 注目度 | ★★★☆☆ (3) |
e | 財務安全度 | ★★★★☆ (4) |
f | 初値予想 | EPS161円にたいして、需給の観点からも30倍程度 4800円程度か |
オファリング・レシオ=(公募株+売出株)÷発行済株式総数
※1~※3 目論見書、有価証券報告書から引用
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