IPO Study

IPO(新規上場会社)の情報・分析サイト

ユーピーアール(9075)の初値予想/分析 2019年6月12日(水)上場

1. 基礎データ

 

①物流事業 

 

物流にかかわるパレットで創業した企業。木製パレットの製造業者として山口県宇部市に創業し、それ以来「パレットを通じ人々の生活を便利にすること」を事業原点として発展している企業です。


さらに付加価値をつけるため最近では、スマートパレット、アシストスーツなど物流にかかわる事業を展開しています。

 

全国に展開し、平成31年3月31日現在は国内12の営業所と174のデポで運営しており、レンタル用物流機器の保有枚数は約400万枚に達しており、バランスシートにはレンタル資産が多い。

 

木製パレットの製造、販売及びレンタルからスタートしましたが、時代の流れにより変化する顧客ニーズに迅速に対応し、プラスチック製パレット、ネスティングラックやカゴ車等の金属製品など様々な場面で利用される物流機器を扱い、レンタル及び販売することで発展してまいりました。※1

 

 

モノが動けばパレットが必要 !


当社の保有する400万枚のパレットのうち、約300万枚が日々物流現場で使われています。またレンタルの必要がないお客様に対しては、物流機器の販売や他の物流ソリューションを利用することによって、輸送の効率化や保管のシステム化が図れるように提案をしていきます。世の中のあらゆるモノに対して常にアンテナを張ることにより、私たちの仕事は何倍にも何十倍にも増えていくのです。※新卒採用サイトより

 

 

②コネクティッド事業

 

IoT事業部は、位置情報端末とデータ閲覧のwebサイトをパッケージにした「なんつい」や「ワールドキーパー」を主力商品に据え、物流業界を中心に位置情報ソリューションを提供しています。

 

規模的にはまだまだこれからの事業。

 

 

f:id:IPOStudy:20190610173406p:plain※2

 

 

会社名 ユーピーアール
所在地 東京本社 〒100-0011 東京都千代田区内幸町1-3-2 内幸町東急ビル12F
TEL:03-3593-1730(代) FAX:03-3593-3020
宇部本社 〒755-0032 山口県宇部市寿町3-5-26
TEL:0836-31-9020(代) FAX:0836-31-9022
設立 1979年 3月
代表者名 代表取締役社長 酒田 義矢
資本金等 9,600万円
社員数 190名(2018年8月現在)
事業内容 パレット・物流機器のレンタル事業
パレット・物流機器の販売事業
パレット・物流機器の海外事業
アシストスーツ事業
スマートパレット事業
IoT事業
ビークルソリューション事業

 

 

2. 成長企業判定

  売上 成長率 経常利益 成長率 成長率合計 判定
2016/08 8,862   648      
2017/08 9,312 5% 269 58% 64%
2018/08 10,367 11% 803 9% 20% ×
2019/8予 11,261 9% 724 10% 18% ×

 

※40%ルール 「売上高の成長率」+「営業利益率」の値が40%を超えるかどうか
例:
企業の売上高の成長率が100%・・・営業利益率が▲60%まで
企業の売上高の成長率が40% ・・・営業利益率が0%以上
企業の売上高の成長率が20% ・・・営業利益率が20%以上

 

3. 上場スケジュールと想定価格

 
仮条件決定日   2019/05/23(木)
抽選申込期間 2019/05/27(月) 2019/05/31(金)
公募価格決定   2019/06/03(月)
購入申込期間 2019/06/04(火) 2019/06/07(金)
上場日   2019/06/12(水)
想定価格(円)   3,130
公募価格決定(円)   3,300
想定価格からの上昇率   5.4%

 

 

 

公募株式数(単位:株) 460,400
公募(単位:株) 384,000
売出(単位:株) 76,400
売出比率 16.59%
オーバーアロットメント(単位:株) 69,000
発行済株数 1,532,000
オファリングレシオ 34.56%

 

4. 手取金の使途

約11億円については、レンタル資産の取得のためと、妥当な内容でしょうか。

ただし、今期ではなく来期に9億円と大きい金額を予定しています。

 

手取概算額1,165,160千円については、当社の事業拡大を見据えた設備資金に充当する予定であります。

 

具体的には、レンタル資産(パレット等物流機器等)の取得のための資金として1,165,160千円(令和元年8月期220,000千円、令和2年8月期945,160千円)を充当する予定です。※3

 

5. 財務データ

 

売上は右肩あがりですが、自己資本比率はやや低いです。

 

借入金が60億円を超えており、BSの半分程度は借金。拡大に伴い、バランスシート大きくなっており、直近の決算では流動比率も100%を切っており、ややきなるところです。公募増資で11億円程度の資本増強が図られるため、特に大きな問題はないと思いますが、借金が大きい企業だということは覚えておいたほうがよいでしょう。

 

 

f:id:IPOStudy:20190610180350p:plain

※4

 

6. リスク分析

 

基本的にはパレットをレンタルしてもらうことで収益が上がります。

 

リスクとしては、レンタルから自社保有になること、原料となるプラスチック価格の上昇つまり原油高がリスクとなりそうです。

 

また資産においては減損リスクがあるといえます。決算期に減損テストを行いますが、特別損失が発生する可能性はほかの企業よりは大きいです。

 

 

 

7. 株主構成

創業家でほぼ保有しており、VCもなし。

売出も少なく、まだ成長する意欲は高い企業といえそうです。

 

株主名 株数 売出 比率
酒田 義矢 824,000 56,400 71.8
酒田 三男 160,000   13.9
酒田 加代子 64,000   5.6
酒田 健治 62,000 20,000 5.4
ユーピーアール従業員持株会 24,000   2.1
中村 康久 7,000   0.6
町田 敏明 4,000   0.4
大矢 隆司 2,000   0.2
髙井 健介 1,000   0.1
       
上位10名合計 1,148,000 76,400 100.0
     
株主名 VC LU(日数) LU(株価)
酒田 義矢   90  
酒田 三男   90  
酒田 加代子   90  
酒田 健治   90  
ユーピーアール従業員持株会   180  
中村 康久   90  
町田 敏明   90  
大矢 隆司   90  
髙井 健介   90  
       

 

 

※LU= ロックアップ
VCは、ベンチャーキャピタルの略、推測含む。
ロックアップは、「鍵を掛ける」という意味で、その銘柄の大株主等が、「公開後の一定期間、市場で持株を売却しない」旨、公開前に契約を交わす制度です。

基本的には、期間と価格の両方の条件が記載の際はどちらか一方が条件をクリアすれば株式保有者は売ることができます。


8. 主幹事証券

 

久々野村主幹事。さすがに初値割れ案件ではなさそうです。

 

シンジケート 証券会社名 割当数(株) 割当(%)
主幹事証券 野村證券 414,400 90.0
引受証券 東海東京証券 13,800 3.0
引受証券 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 9,200 2.0
引受証券 SMBC日興証券 9,200 2.0
引受証券 SBI証券 4,600 1.0
引受証券 ひろぎん証券 4,600 1.0
引受証券 松井証券 4,600 1.0

 

 


9. 提出会社の状況

 

意外ではありますが、給与はかなり高め。従業員にとってはかなり良い企業だと思われます。

  従業員 臨時雇用 平均年齢(歳) 平均勤続年数(年) 平均年間給与(円)
提出会社の状況 164   37.1 7.2 6,600,632


10. 初値予想

 

初値予想は、今の地合いなら公募割れはなく、やや上で初値がつきそう。

PER12倍程度、3900円と想定します。人気化すればさらに高寄りもありそうですが、地味な印象もあり、高配当でもなければセカンダリーは見送りそう。一方安寄りなら妙味もあるかと。

 

 

1 市場 東証2部
2 需給 1社
3 VC、SO VCなし
4 吸収金額 17億と中型、公募価格における時価総額約50億円
5 注目度 パレット関係と地味だが、見どころはありそう。
   
a 流動性 ★★★☆☆ (3)
b タイミング ★★★★☆ (4)
c 事業内容 ★★★☆☆ (3)
d 注目度 ★★★☆☆ (3)
e 財務安全度 ★★☆☆☆ (2)
f 初値予想 EPS329円にたいして、需給の観点からも12倍程度 3900円程度か

 


オファリング・レシオ=(公募株+売出株)÷発行済株式総数

 

※1~※4 目論見書、有価証券報告書から引用
※本レポートに掲載される内容は、コメント執筆時における筆者の見解・予測であります。また、提供する情報等は作成時現在のものであり、今後予告なしに変更又は削除されることがございます。
当ブログは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としており、投資勧誘を目的として作成したものではございません。また個別銘柄の記事を書いておりますが、投資を勧めるものではございません。
本レポートの内容に依拠して読者が取った行動の結果に対し責任を負うものではございません。投資にかかる最終決定は、ご自身の判断と責任でなさるようお願いいたします。