バルテス(4442) 初値予想/企業分析 2019年5月30日(木)上場
1. 基礎データ
需要が高まるソフトウェアテストサービスをメインにしている当社。売上は成長を続けています。テストに至る範囲は、組込系(AV機器や家電、産業機器等)をはじめ、PCアプリケーションや業務系システム及びWebアプリケーションなど幅広いものになっています。
大きく3つの事業に分かれておりますが、ソフトウェアテストサービスがメインです。
①ソフトウェアテストサービス
②ウェブアプリ開発事業
③オフショアサービス事業
※1
会社名 | バルテス株式会社 |
---|---|
所在地 | 大阪本社 〒550-0011 大阪市西区阿波座1-3-15 JEI西本町ビル8F |
設立 | 2004年4月19日 |
代表者名 | 代表取締役社長田中 真史 |
資本金等 | 9,000万円 |
社員数 | 409名(2019年1月末現在)(グループ連結、契約社員含む) |
事業内容 | 1.ソフトウェアテストサービス 2.品質コンサルティングサービス 3.ソフトウェア品質セミナーサービス 4.セキュリティ・脆弱性診断サービス 5.その他品質評価、品質向上支援サービス |
取引銀行 | 三菱UFJ銀行 紀陽銀行 りそな銀行 みずほ銀行 三井住友銀行 北おおさか信用金庫 広島銀行 |
2. 成長企業判定
売上は、足元20%前後で成長しています。
利益はややばらつき、また利益率も10%には至らない様子。
2018年3月期の利益がやや少ないのは、気になる所。
販管費と固定資産除却損が大きく、利益はぶれる企業の様子。
売上 | 成長率 | 経常利益 | 成長率 | 成長率合計 | 判定 | |
2017/03 | 2,293 | 102 | ||||
2018/03 | 2,457 | 7% | 33 | 68% | 75% | 〇 |
2019/03 | 3,294 | 34% | 193 | 9% | 43% | 〇 |
2020/3予 | 3,884 | 18% | 218 | 13% | 31% | × |
※40%ルール 「売上高の成長率」+「営業利益率」の値が40%を超えるかどうか
例:
企業の売上高の成長率が100%・・・営業利益率が▲60%まで
企業の売上高の成長率が40% ・・・営業利益率が0%以上
企業の売上高の成長率が20% ・・・営業利益率が20%以上
3. 上場スケジュールと想定価格
単独上場であり、注目度は高い。
また660円の公募価格となり、小型の企業らしい高値がつきそうな案件。
自 | 至 | |
仮条件決定日 | 2019/05/10(金) | |
抽選申込期間 | 2019/05/14(火) | 2019/05/20(月) |
公募価格決定 | 2019/05/21(火) | |
購入申込期間 | 2019/05/23(木) | 2019/05/28(火) |
上場日 | 2019/05/30(木) | |
想定価格(円) | 540 | |
公募価格決定(円) | 660 | |
想定価格からの上昇率 | 22.2% |
公募多め、売出比率は20%以下となっており、成長に対する意欲は感じられるが、資金使途が借入金の返済ともなっており、本当にこの株数の公募が必要なのかとも感じる。
公募株式数(単位:株) | 1,046,500 |
---|---|
公募(単位:株) | 843,000 |
売出(単位:株) | 203,500 |
売出比率 | 19.45% |
オーバーアロットメント(単位:株) | 156,900 |
発行済株数 | 7,150,000 |
オファリングレシオ | 16.83% |
4. 手取金の使途
凡そ5億円の資金調達となりますが、主には、採用費用となりそう。
借入金の返済に充てることは個人的にはあまり評価できませんが、人材に関する投資がメインとなりそうですね。
(1)採用費用 約2.7億
(2)基幹システム 約1億
(3)テストセンター 約0.3億
(4)借入金の返済 約1億
① テストエンジニアの採用費 テストエンジニアの採用環境は厳しさを増しておりますが、当社の成長のためには優秀なテストエンジニアの確保は不可欠でありますので、エンジニアの採用費用として平成32年3月期に150,000千円、平成33年3月期に119,249千円を充当する予定であります。
② 基幹システム投資 業績管理体制の強化及び管理業務の効率化を目的とした基幹システムへの投資として、平成33年3月期に100,000千円を充当する予定であります。
③ テストセンター増設 業容拡大に伴う新たなテストセンターの開設費用として、平成33年3月期に30,000千円を充当する予定であります。
④ 借入金の返済 財務体質強化のため借入金返済資金として平成32年3月期に50,000千円、平成33年3月期に42,000千円を充当する予定であります。※2
5. 財務データ
利益は凸凹する企業。
利益率も5%~10%のレンジでそれほど高くはない。
初値は高騰するが実力については上場後試されそうです。
また、利益剰余金も積みあがっておらず、配当している場合は別ですが、赤字になる可能性が定期的にありそう。
※3
6. リスク分析
①価格競争
リスクについて、目論見書に記載ありますが、差がつきにくいプロジェクトについては、価格競争が激しいとあります。ソフトウェアテストの外注先であり、差がつきにくいプロジェクトも多いと想定されます。
②人件費
多くのプロジェクトを抱えているものの、事業の拡大には人員の増が必須になってきます。人件費が高騰する中では、利益率の低下が起こる可能性があります。
7. 株主構成
社長が70%弱保有しており、安定した株主兼経営者となっています。
売出比率が低いものの、社長自身がほぼ売出の株を占めております。
株価は高騰する可能性が高いと考えていますので、ロックアップ1.5倍後は、かなりベンチャーキャピタルは売ってくる案件だと推測されます。
株主名 | 株数 | 売出 | 比率 |
---|---|---|---|
田中 真史 | 4,050,000 | 202,500 | 67.9 |
バルテス社員持株会 | 689,500 | 11.6 | |
HC8号投資事業有限責任組合 | 250,000 | 4.2 | |
野村證券(株) | 150,000 | 2.5 | |
西村 祐一 | 120,000 | 2.0 | |
大薗 雅嗣 | 120,000 | 1,000 | 2.0 |
SBIベンチャー企業成長支援3号 | 115,200 | 1.9 | |
SBIベンチャー企業成長支援4号 | 83,400 | 1.4 | |
SBIベンチャー企業成長支援2号 | 59,700 | 1.0 | |
(株)三菱UFJ銀行 | 50,000 | 0.8 | |
上位10名合計 | 5,687,800 | 203,500 | 95.3 |
株主名 | VC | LU(日数) | LU(株価) |
田中 真史 | 180 | ||
バルテス社員持株会 | |||
HC8号投資事業有限責任組合 | 〇 | 90 | 1.5 |
野村證券(株) | 90 | 1.5 | |
西村 祐一 | 180 | ||
大薗 雅嗣 | 180 | ||
SBIベンチャー企業成長支援3号 | 〇 | 90 | 1.5 |
SBIベンチャー企業成長支援4号 | 〇 | 90 | 1.5 |
SBIベンチャー企業成長支援2号 | 〇 | 90 | 1.5 |
(株)三菱UFJ銀行 | 90 | 1.5 |
※LU= ロックアップ
VCは、ベンチャーキャピタルの略、推測含む。
ロックアップは、「鍵を掛ける」という意味で、その銘柄の大株主等が、「公開後の一定期間、市場で持株を売却しない」旨、公開前に契約を交わす制度です。
基本的には、期間と価格の両方の条件が記載の際はどちらか一方が条件をクリアすれば株式保有者は売ることができます。
8. 主幹事証券
SBI案件。
初値高騰しそうな案件で、今回も当選者には当たりの案件となりそう。
シンジケート | 証券会社名 | 割当数(株) | 割当(%) |
---|---|---|---|
主幹事証券 | SBI証券 | 889,000 | 85.0 |
引受証券 | 野村證券 | 42,000 | 4.0 |
引受証券 | 藍澤證券 | 10,500 | 1.0 |
引受証券 | 岩井コスモ証券 | 10,500 | 1.0 |
引受証券 | エイチ・エス証券 | 10,500 | 1.0 |
引受証券 | SMBC日興証券 | 10,500 | 1.0 |
引受証券 | エース証券 | 10,500 | 1.0 |
引受証券 | 極東証券 | 10,500 | 1.0 |
引受証券 | 東洋証券 | 10,500 | 1.0 |
引受証券 | ひろぎん証券 | 10,500 | 1.0 |
引受証券 | 丸三証券 | 10,500 | 1.0 |
引受証券 | むさし証券 | 10,500 | 1.0 |
引受証券 | 楽天証券 | 10,500 | 1.0 |
9. 提出会社の状況
労働集約的でもあり、比較的若い平均年齢と500万というやや高い年収となっています。今後の人員増にたいして、人件費が高騰することが予想されます。
従業員 | 臨時雇用 | 平均年齢(歳) | 平均勤続年数(年) | 平均年間給与(円) | |
提出会社の状況 | 226 | 133 | 33.3 | 3.7 | 4,943,000 |
10. 初値予想
初値はかなり高騰しそうな案件です。
時価総額の小ささ、吸収金額も大きくないことと、人気集中から予想した初値は1800円程度。
1518円が、初日の上限。
即金になる可能性が高い案件とみていますが、ベンチャーキャピタルの売りもこなせるか。
1 | 市場 | マザーズ |
---|---|---|
2 | 需給 | 1社 |
3 | VC、SO | VCあり 10%程度 |
4 | 吸収金額 | 7億と小型、公募価格における時価総額約47億円 |
5 | 注目度 | ソフトウェアテスト企業。人気化しそう |
a | 流動性 | ★★★★☆ (4) |
b | タイミング | ★★★★☆ (4) |
c | 事業内容 | ★★★★☆ (4) |
d | 注目度 | ★★★★★ (5) |
e | 財務安全度 | ★★★★☆ (4) |
f | 初値予想 | EPS23円にたいして、需給の観点からも80倍程度 1800円程度か |
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オファリング・レシオ=(公募株+売出株)÷発行済株式総数
※1~※3 目論見書、有価証券報告書から引用
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