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エヌシーエヌ(7057) 2019年3月14日(木)上場

1. 基礎データ

会社名 株式会社エヌ・シー・エヌ
所在地 〒108-0075 東京都港区港南1-7-18 A-PLACE品川東
代表者 代表取締役社長 田鎖 郁男
設 立 1996年12月11日
資本金 137,270,160円(2018年3月末現在)
役員 取締役会長 杉山 恒夫
代表取締役 田鎖 郁男
専務取締役 杉山 義久
常務取締役 山河 和博
取締役 長屋 充容
取締役 松井 忠三[社外取締役/株式会社良品計画 元代表取締役会長]
常勤監査役 石原 研⼆郎[社外監査役
監査役 峯尾 商衡[社外監査役
監査役 秋野 卓生[社外監査役
従業員数 85名(構造設計一級建築士4名、一級建築士12名、二級建築士11名/2019年1月末現在)
事業内容 木造耐震設計事業
耐震構法SE構法(SE構法の開発、構造計算、資材販売、品質履歴管理、性能保証)
建築ネットワーク事業
(建設会社ネットワーク、住宅ブランド、設計事務所ネットワーク)
建築関連サポート
(登録施工店サポート、長期優良住宅認定申請サポート、保険金融サポート)

 

 

設立23年目での上場。

木造建築の耐震性の構造計算を事業として取り組んでいる企業です。

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一般の木造住宅ではほとんど構造計算は実施されておりませんが、当社が扱うSE構法では、鉄骨造やRC造と同じ手法である許容応力度計算による構造計算を実施しております。

 

 

構造計算においては、構造図面作成用CADと連動した立体解析による構造計算プログラムを使用することで、構造図と構造計算の整合性を確保する形で安全性を検証しており他社との差別化を図っています。

 

また、構造加工品の販売も行っており、SE工法を実行するために提携した施工店を通じで販売しております。

 

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設計に伴う事業が柱であり、建築が多数在籍していることがわかります。

人材にお金をかけている企業であり、平均年収は580万円と住宅業界においてはやや高い印象です。

 

財務分析は後述しますが、利益率はあまり高くないため、その点はやや気になります。

  従業員 臨時雇用 平均年齢(歳) 平均勤続年数(年) 平均年間給与(円)
提出会社の状況 85 7 39.3 7.1 5,828,394

 

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主な取引先は、アールシーコアと無印良品であり、比較的大手との取引もあり毎年継続した取引がある点は評価されます。

 

MUJI HOUSEは持分法適用会社でもあるため、持分法による投資損益が経常利益に計上されています。当社に直接良品計画の資本が入っているわけではないですが、ある程度の規模の会社との合弁事業をやっていることは注目すべき点です。

2. 上場スケジュールと想定価格

仮条件決定日 2月22日(金)
抽選申込期間 2月26日(火)~3月4日(月)
公募価格決定 3月5日(火)
購入申込期間 3月6日(水)~3月11日(月)
上場日 3月14日(水)
想定価格(円) 700
公募価格決定(円) 800
想定価格からの上昇率 14.3%

 

3. 手取金の使途

 

 

今回の上場における資金は、システム投資を行うためとの記載があります。

借入でも賄える可能性はありますが、敢えて今回は、株式での資本調達を行います。

資本コストとしてはこのシステム投資がどうかわかりませんが、ROEについても言及があるため、比較的資本効率は意識している企業といえそうです。

 

これまでの構造計算により蓄積された2万件以上の間取り図や構造図などのデータベースを整理し、リフォームやメンテナンスなどのサービスを既存顧客に提供するビジネスモデルの開発を目的に、基幹業務システムを再構築するための設備資金として348,200千円(2020年3月期127,000千円、2021年3月期221,200千円)を充当する予定であります。 


4. 財務データ

 

バランスシートについては、流動比率も問題はなく、財務も健全です。

有利子負債も無い状態です。人件費がまかなえる仕事量があれば不況期においてもある程度の体力があるといえます。

 

一方で、売上は横ばいが続いており、利益の伸びも緩やかな状態です。

利益率で、3%前後というのはあまり高い企業とはいえません。

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5. リスク分析

 

 

やはり住宅業界ということで景気動向に左右される可能性は高いといえます。

新規事業を育成中ですが、今後景気が悪化する場合、特に消費増税により住宅が売れなくなることのリスクはあるかもしれません。

 

当社グループが属する住宅業界は、景気動向金利動向、地価動向並びに住宅税制等の影響を受けやすいため、景気見通しの悪化や大幅な金利上昇、地価の上昇並びに住宅税制等の諸情勢に変化があった場合には、住宅購入者の購入意欲を減退させる可能性があります。


6. 株主構成

 

今回のIPOでは、公募比率が高いため、売出はごく一部。

田鎖氏は、商社出身の1965年生。

1996年に会社設立から、着実に会社を大きくしてきた実力者で、今回売り出さずまだ成長を狙おうとする点は評価できそうです。

 

株主名 株数 売出 比率 VC ロックアップ期間 ロックアップ株価
(有)田杉総行 660,000   25.89   90日間  
田鎖 郁夫 578,000   22.67   90日間  
杉山 恒夫 410,000 200,000 16.08   90日間  
双日建材(株) 200,000   7.84   90日間  
杉山 義久 199,000   7.81   90日間  
山河 和博 90,000   3.53   90日間  
伊東 洋路 80,000 20,000 3.14   90日間  
山川 裕史 50,000   1.96   90日間  
鈴間 浩 35,000   1.37   90日間  
飯島 靖 28,000   1.1   90日間  
上位10名合計 2,217,000 220,000 87.0      


7. 主幹事証券

 

野村證券主幹事。約90%

 

シンジケート 証券会社名 割当数(株) 割当(%)
主幹事証券 野村證券 712000 89
引受証券 みずほ証券 24000 3
引受証券 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 24000 3
引受証券 SBI証券 24000 3
引受証券 SMBC日興証券 8000 1
引受証券 エイチ・エス証券 8000 1

 

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8. 初値予想

初値予想は凡そ1000円程度か。サーバーワークスが即金になってしまったため、2社の初値が恐らく3月14日につく予定です。

 

EPS72円を考慮するとPER14倍程度で1,000円になります。

ただし、業種が地味かつJASDAQであることから安寄りする可能性もあります。

 

 

 

 

 

 

オファリング・レシオ=(公募株+売出株)÷発行済株式総数

VCは、ベンチャーキャピタルの略、推測含む。
ロックアップは、「鍵を掛ける」という意味で、その銘柄の大株主等が、「公開後の一定期間、市場で持株を売却しない」旨、公開前に契約を交わす制度です。

基本的には、期間と価格の両方の条件が記載の際はどちらか一方が条件をクリアすれば株式保有者は売ることができる。

※1~※ 目論見書、有価証券報告書から引用