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サーバーワークス(4434)の初値予想 2019年3月13日(水)上場

1. 基礎データ

 

サーバーワークス社は、「クラウドで 世界をもっと はたらきやすく」のビジョンのもと、Amazon.com, Inc.の関連会社Amazon Web Services, Inc.が提供するクラウドコンピューティングサービス「Amazon Web Services(以下「AWS」)」の導入支援を主軸としたクラウドインテグレーターです。事業としての成長性はかなり高い印象。

 

当社は、AWSの特定領域に対する深い専門知識・経験・実績に対して、AWSから各種の認定を受けており、最上位パートナー資格の「APNプレミアコンサルティングパートナー(※)」に2014年から継続して選ばれています。 

 

以下にプレミアムパートナーをAWSのサイトから引用しますが、比較的大企業が多い中、サーバーワークス社の名前もあり5年継続して選ばれている実績は評価できそうです。またグローバルを含めても100社に満たないプレミアコンサルティングパートナーという認定は価値が高いといえそうです。

 

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※1

 

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※2

 

 

後述しますが、インテグレーションのフロー部分ではなく、リセール部分の売上が大きく、ストック性が高く今後の収益が安定している点が当社の強みといえます。

 

リセール部分の特徴として、当社独自のサービス「pieCe」では、AWS利用料の決済機能だけでなく、「CloudAutomator」(当社のAWS運用自動化サービス)も併せて提供するなど、当社独自の付加価値を付与して提供しています。

 

また、万が一AWSに障害が発生した場合の顧客企業が被った損害を補償する損害保険を東京海上日動火災保険株式会社との業務提携により付帯させており、価値あるサービス提供を行っています。

 

 

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※3


以下のように、取引社数も順調に増加しつつ、新規が積みあがっていく状態です。サブスクリプション型のビジネスモデルとなっており、今後も新規が継続的に増加する限り、売上、利益ともに増加しやすいビジネスの構造になっています。

 

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※4

 

 

 

 

 

 

 

商号 株式会社サーバーワークス
本社所在地 〒162-0824 東京都新宿区揚場町1番21号 飯田橋升本ビル2階(地図)
電話番号 03-5579-8029 (営業時間 10:00~19:00)
代表者名 大石 良
設立 2000年2月21日
従業員数 115名 (2018年8月現在/契約社員含む)
資本金 169,100,000円
事業内容 1.クラウドコンピューティングを活用したシステム企画・開発及び運用
2.インターネット関連システムの企画・開発及び運用
3.Saas/ASPサービス/IT商品の企画・開発及び運用
主要取引先 株式会社ディスコ
アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社
株式会社インテージテクノスフィア
ソフトバンクコマース&サービス株式会社
日本赤十字社
株式会社船井総合研究所
丸紅株式会社
アルテリア・ネットワークス株式会社
財団法人ジャパン・スタッドブック・インターナショナル
マクニカネットワークス株式会社
横河電機株式会社
ロート製薬株式会社
(順不同、敬称略)

 

従業員の数100名強に対して、比較的売上は大きく一人4000万円から5000万円の売上を上げており、急成長しております。

 

主要取引先も大手が多く、AWSを扱っていることから今後の拡大が期待されます。

 

 

 以下ホームページの情報になりますが、AWSにかなり傾斜していており急成長している企業ですが、この点はリスクということもできます。

 

 

AWSAmazon Web Services)に特化したインテグレーション事業とサービスの提供を行っている、クラウドインテグレーターです。

 

2009年より、AWSに特化したインテグレーション事業を開始。2014年に日本初のAWS Partner Network (以下、APN)のマネージドサービスプロバイダー コンピテンシーを取得。

 

さらに、AWSコンサルティングパートナーの最上位である APN プレミアコンサルティングパートナーに選定されるなど、この分野で先進的な取り組みを行っている企業として知られる存在になりつつあります。

 
私たちは、お客様のAWS導入を成功に導く3つのソリューション、AWS導入支援、AWS運用サービス、AWS自動化ツールをご提供しています。

 ※5 ホームページより

 

 

 

2. 上場スケジュールと想定価格

 

スケジュール的にはIPOラッシュの前半戦。

比較的高値が付きそうなスケジュールとなっています。

重複上場はなくなったことからも初値高騰が予想されます。

 

仮条件決定日 2月22日(金)
抽選申込期間 2月26日(火)~3月4日(月)
公募価格決定 3月5日(火)
購入申込期間 3月6日(水)~3月11日(月)
上場日 3月13日(水)
想定価格(円) 4,320
公募価格決定(円) 4,780
想定価格からの上昇率 10.6%

3. 手取金の使途

 

 

手取資金については、人件費がメインとなるようです。バランスシートも良好であることから有利子負債による資金調達も今後可能となりそうです。

 

 

手取概算額857,000千円については、事業拡大を目的とした増加人員に係る採用費及び労務費、人件費の一部として468,480千円(平成32年2月期に221,275千円、平成33年2月期に247,205千円)、

 

クラウドインテグレーション及びMSPにおける業務委託費の一部として平成32年2月期に88,520千円、サービス基盤拡充等のために金融機関から借り入れた短期借入金の返済資金として平成32年2月期に300,000千円を充当する予定であります。※6

 

 

4. 財務データ

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※7

 

売上、利益ともに順調に伸びており、財務体質も非常に良い状態です。

また、以下の通り、リセール部分が多いことが評価できます。

 

20期、今期における注意点としては当期純利益は、株式の売却益により純利益が増加しております。PERを計算する際には割り引いて考える必要があります。

 

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※8

 

 

バランスシート上には、テラスカイの株式が資産として保有しているため、売却による現金確保も可能となっています。今後の資金調達はかなり余裕が残っており、またテラスカイ株の含み益も純資産を見るとかなり大きいようです。

5. リスク分析

 

リスクは大きく2つに分けて考えています。目論見書のリスクの箇所は参考になります。

 

①アマゾンに依存している点

 

AWSの成長とともに当社は成長しているので、AWSの縮小や、他社で革新的サービスが展開されるなどの場合においては、今後の成長においてはリスクとなる可能性があります。AWSのベンダーはこのリスクを負っているので同条件ですが、当社はAWSに関する割合が大きいのでこの点は懸念すべきです。

 

 

当社はAWSに特化したクラウドインテグレーターとして、AWSのリセールおよびその周辺ビジネスの拡大により売上高の持続的成長を実現してまいりました。従いまして、当社の成長はAWSの市場拡大に大きく依存しております。

 

当社は、AWSを含めたパブリッククラウドの市場規模は継続的に拡大していくものと認識しており、今後もAWSを主軸として事業展開を進めて行く方針であります。

 

また、近年においては、AWSは事業ポートフォリオをIaaSからPaaSまで拡げ、今後も更なる成長と市場の拡大が見込まれると考えております。しかしながら、AWSの市場規模が縮小する場合やAmazon Web Services, Inc.の経営戦略に変更がある場合等には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。※9

 

②外部委託に関するリスク

 

以下の通り、テラスカイとの合弁会社に業務委託しており、テラスカイとのビジネスがうまくいかない場合のリスクは懸念されます。

また、少人数で運営しているため、外部委託業者を利用しているため、情報漏洩や委託先にうまく業務を委託できないリスクはあります。

 

 

当社のMSPサービスにおいては、株式会社テラスカイとの合弁会社である株式会社スカイ365に対し、障害監視等の基本的な定型業務を委託しております。

 

 

第20期第3四半期累計期間(自 平成30年3月1日 至 平成30年11月30日)における株式会社スカイ365に対する業務委託費は117,642千円でありますが、当社は、自社においても当該業務を一部行っており、今後も自社における運用代行機能を拡大することにより、適正な外注比率を維持し、突発的な事象に対する影響度の低減を図る方針であります。

 

 

しかしながら、株式会社スカイ365は株式会社テラスカイの子会社であるため、今後株式会社スカイ365及び株式会社テラスカイの経営方針の変更等により、突発的に株式会社スカイ365との取引関係継続が困難になった場合には、当社リソースによって相応のカバーは可能ながら、追加的な人員や他の協力先確保に伴う想定外の費用増加によって、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。※10

 

 

6. 株主構成

 

大石氏は、丸紅出身の社長です。昭和48年生まれであり、若いことからまだまだ拡大余地がある企業の一つとなりそうです。また、今回売り出しをしていないことから将来の成長を見据えているといえます。

 

目論見書には海外への拡大も検討している旨があり、今後が期待できます。

 

VCはほとんどなく、テラスカイやNTTによる持分が多く、安定した株主構成となっています。ロックアップは1.5倍で外れる点はやや注意。

 

株主名 株数 売出 比率 VC ロックアップ① ロックアップ②
大石 良 783,600   48.29   90日間 1.5倍
(株)テラスカイ 460,000 122100 28.35   90日間 1.5倍
エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ(株) 65,000   4.01   90日間 1.5倍
(株)エヌ・ティ・ティ・データ 65,000   4.01   90日間 1.5倍
羽柴 孝 55,200   3.4   90日間 1.5倍
大塩 啓行 47,080   2.9   90日間 1.5倍
大野 麻理 14,000   0.86   90日間 1.5倍
鳥や尾 務 12,000   0.74   90日間 1.5倍
望月 明人 6,000   0.37   90日間 1.5倍
柳瀬 任章 4,400   0.27   90日間 1.5倍
上位10名合計 1,489,880 122,100 91.8      

 

7. 主幹事証券

 

大和主幹事、90%を占めています。

当選した方は非常にラッキーですね。

 

シンジケート 証券会社名 割当数(株) 割当(%)
主幹事証券 大和証券 288500 89.57
引受証券 野村證券 9600 2.98
引受証券 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 9600 2.98
引受証券 SBI証券 3200 0.99
引受証券 東海東京証券 3200 0.99
引受証券 岡三証券 3200 0.99
引受証券 いちよし証券 3200 0.99
引受証券 マネックス証券 1600 0.5

 

 

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8. 初値予想

 

 

初値予想としては、かなり上昇が見込まれ、即金になる可能性もあります。

値幅制限ぎりぎりですが、初値は11,000円程度での予想。一日目の値幅制限が11,000円程度であることから、2日目に寄り付き11,000円程度の初値もしくは12,000円を超える可能性もあります。

 

個人的には、2日目寄り付きの11,000円程度での初値形成を予想します。

 

人気銘柄になることは間違いないですが、実質的な企業価値を考える際は、当期純利益が株式売却益で上振れている点を考慮する必要があります。

 

 

 

オファリング・レシオ=(公募株+売出株)÷発行済株式総数

VCは、ベンチャーキャピタルの略、推測含む。
ロックアップは、「鍵を掛ける」という意味で、その銘柄の大株主等が、「公開後の一定期間、市場で持株を売却しない」旨、公開前に契約を交わす制度です。

基本的には、期間と価格の両方の条件が記載の際はどちらか一方が条件をクリアすれば株式保有者は売ることができる。

※1~※10 目論見書、当社ホームページから引用