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カオナビ(4435) 2019年3月15日(金)上場

1. 基礎データ

 

今、はやりのサブスクリプション型のサービス販売企業。

人材データプラットフォーム構想を掲げており、類を見ない特徴のあるサービスを提供している企業。

 

主なサービスは、クラウド人材管理ツール『カオナビ』。


『カオナビ』は、顔写真が並ぶシンプルな画面から、一元化された人材情報をクラウド上で簡単に共有できるプラットフォームです。

 

社員の顔や名前、経験、評価、スキル、才能などの人材情報を一元管理して可視化することで、最適な人材配置や抜擢といった人材マネジメント業務をサポートしているとあります。

 

 

 

 

会社名 株式会社カオナビ(英文 kaonavi, inc.)
所在地 本社
〒107-0051
東京都港区元赤坂1丁目2番7号 AKASAKA K-TOWER 5階
代表者 代表取締役社長 田鎖 郁男
設 立 2008年5月27日
資本金 4億4,140万円 ※2018年12月末時点
役員 代表取締役社長 柳橋 仁機
取締役副社長 佐藤 寛之
社外取締役 小林 傑
社外監査役(常勤) 伊藤 二郎
社外監査役 山田 啓之
社外監査役 足立 政治
社外監査役 樋口 明巳
執行役員 和賀 勝彦
執行役員 藤田 豪人
執行役員 宮本 桃子
執行役員 橋本 公

 

 

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2. 上場スケジュールと想定価格

 

 
仮条件決定日   2019/02/26(火)
抽選申込期間 2019/02/28(木) 2019/03/06(水)
公募価格決定   2019/03/07(木)
購入申込期間 2019/03/08(金) 2019/03/13(水)
上場日   2019/03/15(金)
想定価格(円)   1,780
公募価格決定(円)   1,980
想定価格からの上昇率   11.2%

 

売出自体は、少ないですが、

資金調達は20億程度を想定しており、吸収金額は大きめ。

今後の成長は急拡大を狙っており、人材もほぼ倍の200名を目指している成長企業です。

 

 

公募株式数(単位:株) 870,000
公募(単位:株) 500,000
売出(単位:株) 370,000
オーバーアロットメント(単位:株) 130,500
発行済株数 5,288,000
オファリングレシオ 18.92%


3. 手取金の使途

 

人件費が主な資金となります。

その他、マーケティング、開発費、採用費等に資金を使う模様。

当社は、拡大余地ありとみており、現時点では100名以下の社員数ですが、200名規模を2年後には目指しており、急拡大させるためにアクセルを踏むようです。

 

採用コストが上昇する中、人件費に係る費用は大きくなっています。

 

 

事業の拡大に伴う人材確保に係る人件費(各期の増加見込額)に600,645千円(平成32年3月期253,022千円、平成33年3月期347,623千円)、

 

認知度向上及び顧客基盤拡大に係るマーケティング費(各期の増加見込額)に211,640千円(平成32年3月期86,498千円、平成33年3月期125,142千円)、

 

『カオナビ』サービスに付随する新機能開発に係る開発費や人材採用に係る採用費(各期の発生見込額)に残額(平成32年3月期234,360千円、平成33年3月期残額)を充当する予定であります。 

 


4. 財務データ

 

 

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赤字での上場となっていますが、売上は急激に伸びており、注目度が高い案件。

ストック性が強いため、損益分岐点を上回れば利益は積み上がりやいビジネスモデル。

従業員数も大幅に増えており、今後どの程度の販管費まで膨らむかは注意が必要です。

人材採用の計画から推測するとまだ赤字は続きそうな印象をうけますが、来期見通しがどうなるか。今回の資金調達で、とりあえずすぐに増資があるような財務ではないと見受けられます。

 

 

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5. リスク分析

 

 

技術的に、他社が素晴らしいサービスを提供した場合におけるリスクは当然ながらあります。同等以上のものを低価格で提供されると当社の優位性は崩れることも考えられます。

 

以下は、目論見書からの引用となりますが、広告宣伝費、販売促進費を今期は絞っており、見かけとしては赤字が縮小していますが、今後のビジネスの拡大に影響を与える可能性はあります。来期以降の売上の伸びと新規顧客の獲得数が鈍化しているかに注目したいと考えております。

 

 

当社は、継続的な成長のため、認知度の拡大と顧客数の増加及び優秀な人材獲得に努めてまいりました。近年、これらの取り組みを積極的に進めていることや、当社のビジネスモデル上、継続的に当社サービスを利用する顧客を増加させることで収益を積み上げ、投資回収を図る形態のため、経営成績は営業赤字となっております。

 

今後も引き続き、認知度の拡大に資する活動及び優秀な人材獲得の活動は実施していく予定ですが、一方で、営業黒字を定常的に創出するべく、新規顧客の獲得や既存顧客の解約防止等に注力してまいります。

 

しかしながら、想定通りに効果が得られない場合には、当社の経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

なお、平成29年3月期における広告宣伝費は123,258千円、販売促進費は20,214千円、採用費は34,818千円、人件費は164,347千円、営業損失は211,830千円であり、

 

平成30年3月期における広告宣伝費136,073千円、販売促進費105,903千円、採用費88,560千円、人件費は300,934千円、営業損失は244,215千円であります。

 

また、平成31年3月期第3四半期累計期間における広告宣伝費は108,666千円、販売促進費は34,020千円、採用費は54,412千円、人件費は454,381千円、営業損失は98,805千円であります。

 

 


6. 株主構成

 

ベンチャーキャピタルがかなり入っているので、初値では買いづらい銘柄ですね。

1.5倍でかなりの株数がロックアップ解除となるので、売り圧力が強いかどうかに注目です。

   

株主名 株数 売出 比率 VC LU(日数) LU(株価)
柳橋 仁機 2,396,000 152,000 42.36   180  
合同会社RSIファンド1号 1,230,000   21.74 180  
大和ベンチャー1号投資事業有限責任組合 612,000 140,000 10.82 90 1.5
佐藤 寛之 256,000   4.53   180  
(株)アスパイア 250,000   4.42   90 1.5
NVCC7号投資事業有限責任組合 236,000 78,000 4.17 90 1.5
田丸 拓也 160,000   2.83   90 1.5
NVCC8号投資事業有限責任組合 150,000   2.65 90 1.5
(株)新生銀行 50,000   0.88      
島 浩文 30,000   0.53      
上位10名合計 5,140,000 370,000 90.9      


※LU= ロックアップ
VCは、ベンチャーキャピタルの略、推測含む。
ロックアップは、「鍵を掛ける」という意味で、その銘柄の大株主等が、「公開後の一定期間、市場で持株を売却しない」旨、公開前に契約を交わす制度です。

 


7. 主幹事証券

 

大和証券主幹事。ほかは株数少なめ。

 

シンジケート 証券会社名 割当数(株) 割当(%)
主幹事証券 大和証券 757000 87.01
引受証券 みずほ証券 73800 8.48
引受証券 東海東京証券 14000 1.61
引受証券 マネックス証券 14000 1.61
引受証券 SBI証券 7800 0.9
引受証券 エース証券 3400 0.39

 

 


8. 初値予想

 

今回は上場後に記事を書いていますので、3970円の初値となったとご報告。当日は売りが強かったため、ベンチャーキャピタルが売っていたかもしれません。

3440円の初日終値となりました。

 

 

オファリング・レシオ=(公募株+売出株)÷発行済株式総数

 

※1~※ 目論見書、有価証券報告書から引用