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日本国土開発(1887) 2019年3月5日(火)上場


1. 基礎データ

 

土木、建築が主の会社で、今期が89期と歴史ある企業。

再上場案件で、会社更生法を適用している。20年ぶりの再上場。

基本的に再上場案件は、あまり人気がありませんが、割安感のある上場ともいえ、今後の配当政策次第では人気化する可能性も。

 

震災需要、再生可能エネルギーの影響で、利益率は上昇しています。

今回注目すべきは、配当が27.5円(特別配当を含む)となっており、比較的配当利回りは510円ベースで良い上場です。

 

 

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決算短信(2019年2Q)を見ると利益率も高く、進捗は良い状態です。

受注残高(繰越高)をみても、前期末には劣るものの依然豊富に案件を抱えている状態です。

 

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2. 上場スケジュールと想定価格
仮条件決定日 2月13日(水)
抽選申込期間 2月15日(金)~2月21日(木)
公募価格決定 2月22日(金)
購入申込期間 2月25日(月)~2月28日(木)
上場日 3月5日(火)
想定価格(円) 500
公募価格決定(円) 510

 

 


3. 手取金の使途

 

比較的大きい資金需要となるが、基本的には、研究開発及び設備投資になる予定。

この投資により、来期以降の利益は伸びることが期待されるが、償却負担も大きくなる可能性がある。

 

 

 

【手取金の使途】

 

手取概算額5,768,152千円については、「1 新規発行株式」の(注)5.に記載の第三者割当による自己株式の処分の手取概算額上限967,620千円と合わせて、事業拡大のための設備資金及び太陽光発電事業を展開する匿名組合への出資金に充当する予定であり、その具体的な内容及び充当時期は以下の通りであります。※3

 

① 技術開発拠点「つくば未来センター及び関連施設」への投資土木・建築事業にかかる技術開発及び新しい価値創造を目的とした「つくば未来センター及び関連施設」新設に係る設備投資資金として1,702,000千円

平成31年5月期:893,000千円、平成32年5月期:110,000千円、平成33年5月期:699,000千円)

 

② 機械設備の購入機械土工の推進を目的とし、復興支援技術、リサイクル技術、土砂改良技術のための機械や、ICT施工(無人飛行体を用いた写真測量による現況地形の3次元化や建設機械の自動化技術などを単独もしくは連携させた技術による施工の自動化)のための機械購入資金として2,116,000千円

平成31年5月期:158,000千円、平成32年5月期:868,000千円、平成33年5月期:1,090,000千円)

 

 

全社システム投資SAPシステムの導入(建設産業全体の生産性向上を目的としたCI-NET導入や連結決算業務の円滑化などを図るための基幹系システム)・経費精算システムの構築(会計システムとの連動により経費精算業務の省力化を図るなど業務改善を図るためのシステム)・建設クラウドシステムからの移行費用

(新旧基幹系システム間の移行)等のシステム投資資金として、715,000千円(平成31年5月期:510,000千円、平成32年5月期:205,000千円)

 

 

太陽光発電事業への投資(匿名組合への出資)安定的な収益基盤の確保に向けて注力を進めている太陽光発電事業のうち、震災復興事業の一環として取り組む松島町太陽光発電プロジェクト(宮城県)への出資金5,000,000千円(注)2.の一部として残額を充当し、当該出資金は発電設備の購入等(注)3.に充当(平成31年5月期:残額全て)

 

 


4. 財務データ

 

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5. リスク分析

 

リスクは、列挙されていますが、一番気になるのは、震災復興需要の占める割合が高いこと。以下のように記載があり、今後も継続して案件が続くかは不透明です。

 

また決算期ごとの売上、利益の占める割合も不明確であり、決算期によっては赤字がありえるのかもしれません。

 

東北地方において、東日本大震災直後から現在にかけて、被災地域での除染作業やがれきの廃棄物処理及び収集運搬、減容化処理施設の建設・解体等の震災復興関連工事を数多く手掛けており、連結売上総利益に占める震災復興関連工事の売上直接利益(注)割合は、平成29年5月期が44.3%、平成30年5月期が54.4%、平成31年5月期(予想)が58.4%となっております。

 

 


6. 株主構成
株主名 株数 売出 割合(%) VC ロックアップ①
日本国土開発持株会 12,208,000   16.44   180日間
(株)ザイマックス 5,865,000   7.9   180日間
みずほ信託銀行(株)(一般財団法人日本国土開発未来研究財団口) 4,000,000   5.39   平成31年1月31日まで
(株)西京銀行 3,500,000   4.71   180日間
(株)三菱UFJ銀行 3,500,000   4.71   180日間
アジア航測(株) 3,189,000   4.29   180日間
前田建設工業(株) 3,000,000   4.04   180日間
日本基礎技術(株) 2,900,000   3.91   180日間
三井住友海上火災保険(株) 2,456,000   3.31   180日間
東亜道路工業(株) 2,195,000   2.96   180日間
上位10 名合計 35,262,000   47.5    

 


7. 主幹事証券
シンジケート 証券会社名 割当数(株) 割当(%)
主幹事証券 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 12,110,300 90.0
引受証券 みずほ証券 807,400 6.0
引受証券 大和証券 269,100 2.0
引受証券 極東証券 134,600 1.0
引受証券 マネックス証券 134,600 1.0

 


8. 初値予想

 

 

550円~600円程度と予想しておりましたが、ついた初値は、624円とやや、市況が回復していることから、高い初値になった印象です。

配当利回りからも550円の株価は5%となるので、一つの目安となりそうです。

687円で利回り4%程度。

次期の配当がどの程度出てくるかに注目が集まります。

 

 

オファリング・レシオ=(公募株+売出株)÷発行済株式総数

VCは、ベンチャーキャピタルの略、推測含む。
ロックアップは、「鍵を掛ける」という意味で、その銘柄の大株主等が、「公開後の一定期間、市場で持株を売却しない」旨、公開前に契約を交わす制度です。

基本的には、期間と価格の両方の条件が記載の際はどちらか一方が条件をクリアすれば株式保有者は売ることができる。

※1~4 目論見書、決算短信から引用