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スマレジ(4431) 2019年2月28日上場

1. 基礎データ

 

設立14年目の比較的新しい企業。

大阪の企業で、直近の成長は著しいものがあります。

 

日本一の販売データのプラットフォームとホームページに掲げられています。


2011年からクラウド型POSレジ システムの「スマレジ」を提供しており、従来型のPOSシステムと同等以上の機能を持ち、データはクラウドに保存され、安心してご利用いただけるクラウド型POSレジ サービスを提供しているとのこと。

 

 

設立 2005年5月24日
資本金 232,984,482円(資本準備金含む)
役員 代表取締役 山本 博士
取締役ファウンダー 徳田 誠
取締役 湊 隆太朗
取締役 地引 一由
取締役 田川 良行
常勤監査役 望月 拓也
社外取締役 鈴木 雅哉
社外監査役 大平 豊
社外監査役 村田 雅幸
事業内容 ウェブサービスの企画・設計・デザイン・開発・提供
スマレジ事業
データ収集・分析事業
信販売事業

 

クラウド型のサービスを提供しており、POSレジ「スマレジ」というブランドでアパレルショップ等に浸透してきています。

ユーザー数も無料、有料共に伸びています。

 

 

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※3

 

特徴的なのは、各種有料プランが、すべてにおいて、増加している点です。

導線としては、無料会員で加入してもらい、徐々に高機能の有料会員に移行してもらう。やや気になる点は、スタンダードプランの会員の伸びが緩やかになっている点ですが、上場により注目が集まることや広告宣伝費も活用していくことを会社も述べているので、スタンダードプランの会員の伸びにも注目しておいたほうが良いです。

 


2. 上場スケジュールと想定価格

  開始~終了(決定日)
仮条件決定日 2019/2/8
抽選申込期間 2/13~2/19
公募価格決定 2/20
購入申込期間 2/21~2/26
上場日 2/28
想定価格(円) 1,370
公募価格決定(円) 1,370


 
 今回は、売出は少なめ、公募130万株と積極的に資金を取得しにきた印象です。今後の成長を促すため、積極的投資をしていくように見受けられます。

 

 

公募株式数(単位:株) 1,530,000
公募(単位:株) 1,300,000
売出(単位:株) 200,000
オーバーアロットメント(単位:株) 229,500
発行済株数 9,061,900
オファリングレシオ 19.09%

 

 


3. 手取金の使途

 

スマレジのIPOにおける資金は、開発費用が主であり、IPOらしい資金調達となっている。また人材費用の獲得のためでもあり、今後の事業拡大に資金が使われる予定です。

 

手取概算額1,516,860千円及び「1新規発行株式」の(注)4に記載の第三者割当増資の手取概算額上限270,365千円については、①設備資金、②運転資金及び③借入金返済として以下の使途に充当する予定であります。

 

 

①設備資金設備資金の内容及び充当予定時期は、以下のとおり。

 

・「スマレジ」のクラウドサービスの機能強化に係るソフトウェアの開発及びサーバー構築の資金として130,069千円平成32年4月期130,069千円)

 

・事業拡大のため、「スマレジ4.0」のクラウドサービスに係るソフトウェアの開発の資金として451,440千円平成32年4月期225,720千円、平成33年4月期225,720千円)

 

・顧客数の増加に備え、販売・顧客管理強化を目的とした顧客管理システムへの投資資金として104,828千円(平成32年4月52,414千円、平成33年4月期52,414千円)

 

・管理業務の効率化を目的とした基幹システムへの投資資金として108,000千円(平成32年4月期54,000千円、平成33年4月期54,000千円)

 

 

②運転資金運転資金の内容及び充当予定時期は、以下のとおり。

 

・今後の事業拡大に伴い、開発部門、営業部門に係る人員増強を予定しており、人材確保のための採用活動費に80,146千円(平成32年4月期39,178千円、平成33年4月期40,967千円)、人件費の増加分に616,496千円(平成32年4月期272,979千円、平成33年4月期343,517千円)

 

・「スマレジ」の新規顧客獲得及び拡大を目指すための広告宣伝費として102,662千円(平成32年4月期102,662千円)

 

③借入金返済運転資金のために借入れた銀行からの借入金の返済資金として平成32年4月期に96,000千円を充当する予定。

 

 

残額につきましては、将来における当社の成長に資するための設備投資及び人件費の増加分等の支出に充当

 


4. 財務データ

 

売上成長の伸びとともに、利益も早期から黒字化しており、評価できる企業。

成長がどこまで続くかで評価が分かれそうです。このまま売上、利益共に30%程度成長が続くと仮定すると相当高いPERでも評価されそうです。

 

一方で、補助金終了によるリスクや似たビジネスモデルの企業も多いため、競争激化となるようだと高いPERの維持は難しい可能性もあります。

 

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5. リスク分析

 

スマレジについては、今後急成長する可能性もありますが、以下の3点のリスクについては、注意しておいたほうがいいかもしれません。特に補助金により売上が成長している可能性もあるため、当社の成長力について継続力があるか決算ごとに確認しておいたほうが良いです。

 

Appleとの関係について

 

IOSのみに対応しているため、何らかの影響によりIOSのシェアが落ちると今後のビジネス拡大に影響があります。端末が限定されているため、ここは大きなリスクと考えられます。

AppleInc.との関係について当社が運営するクラウド型POSレジ「スマレジ」におけるレジ機能は、AppleInc.が展開するiOS(アイオーエス)上で稼働するアプリであり、本書提出日現在当該アプリはiOS上でのみ動作いたします。

 

②特定の取引先について

日本プリメックス仕入れが大きい(50%を超える)ため、ビジネスの拡大においては取引先を増やす必要があるかもしれません。一方で、日本プリメックス社においては、このような成長企業との取引は今後の売上増につながる可能性があります。(株価は相関があるかもしれません)

 

補助金について

 

補助金の終了が2019年9月30日、であるため、以後は反動減がある可能性があります。今期の業績がよくても2020年以降については、留意する必要がありますね。

 

 軽減税率対策補助金について政府による軽減税率対策補助金事業において、当社は指定サービスベンダーとして指定されており、当社が提供する一部のサービス(セットアップ、トレーニング等)及びレジ周辺機器についても補助金の交付対象として登録されております※6


6. 株主構成

 

株主名 株数 売出 割合(%) VC ロックアップ① ロックアップ②
徳田誠 1,823,000 180000 21.87   90日間 1.5倍
(株)山本博士事務所 1,645,600   19.74 90日間 1.5倍
(株)徳田 1,000,000   12   90日間 1.5倍
三菱UFJキャピタル 650,000   7.8   90日間 1.5倍
(株)MOCCI 605,000   7.26   90日間 1.5倍
(株)MINATO 580,000   6.96   90日間 1.5倍
山本博 524,000   6.29   90日間 1.5倍
湊隆太朗 307,000   3.68   90日間 1.5倍
望月拓也 248,500 50000 2.98   90日間 1.5倍
地引一由 171,600   2.06   90日間 1.5倍
上位10名合計 6,827,600 180,000        

 

 

ストックオプションも50万株超あります。そのうち行使価格が40円ほどのストックオプションも行使期間に入っているため、株数については推移を確認するほうが良いです。

 

一方、売出は少ない今回の上場。代表の成長における意欲も高い印象です。 

 

 

7. 主幹事証券

 

大和主幹事、初値売は多そうな印象。
 

シンジケート 証券会社名 割当数(株) 割当(%)
主幹事証券 大和証券 1,377,000 90
引受証券 野村證券 76,400 4.99
引受証券 SBI証券 61,200 4
引受証券 SMBC日興証券 7,700 0.5
引受証券 エース証券 7,700 0.5


8. 初値予想

 

高成長が続いており、利益率が高いことから、高い初値がつくことが予想されます。

2000円~2300円程度となるのではないでしょうか。

 

初日には寄りそうですが、かなり資金が集中しそうです。

時価総額も公開価格で130億円程度とそれほど大きい規模の会社となっています。

 

 

※1~6 目論見書、有価証券報告書より引用