リビン・テクノロジーズ(4445)の初値予想/分析 2019年6月28日(金)上場
1. 基礎データ
webサイト、リビングマッチにより、エンドユーザーの要望を各加盟店とマッチさせる不動産テック企業。
具体的には、「不動産プラットフォーム事業」として、当社が運営する不動産会社比較バーティカルメディア「リビンマッチ」を軸に、「売りたい」「管理してほしい」「建てたい」「土地を活用したい」といった不動産に関するエンドユーザーのさまざまなニーズと、当社のクライアントである不動産会社の集客に関するニーズのマッチングサービスを行う。
不動産テック系の企業は多数あるが、売上の伸びと取引先を見ると今後も期待できる部分もある。
※1
会社名 | リビン・テクノロジーズ株式会社 Living Technologies Inc. |
---|---|
所在地 | 本社 〒103-0012 東京都中央区日本橋堀留町1-8-12さくら堀留ビル8階 |
設立 | 2004 年 1月 |
代表者名 | 代表取締役社長 川合 大無 |
資本金 | 3100万円 |
役員 | 代表取締役社長川合 大無 取締役小櫻 耕一 取締役佐藤 慎也 |
従業員数 | 70名 |
事業内容 | 不動産プラットフォーム事業 Webテクノロジーと不動産を融合したプロダクトの開発と運営 ○不動産バーティカルメディア ○不動産業務支援システム ○不動産業界向け人材サービス ○インターネット広告 |
2. 成長企業判定
売上は順調に成長しており、一方で利益面は凸凹しているが、今期も進捗は順調であり、人気化しそうな面はある。
ただし、従業員があまり増えておらず、今後従業員の増加とともに、販管費の増が懸念点として残る。
営業収益 | 成長率 | 経常利益 | 成長率 | 成長率合計 | 判定 | |
2016/09 | 1,349 | 65 | ||||
2017/09 | 1,557 | 15% | 61 | 6% | 22% | × |
2018/09 | 1,825 | 17% | 251 | 311% | 329% | 〇 |
※40%ルール 「売上高の成長率」+「営業利益率」の値が40%を超えるかどうか
例:
企業の売上高の成長率が100%・・・営業利益率が▲60%まで
企業の売上高の成長率が40% ・・・営業利益率が0%以上
企業の売上高の成長率が20% ・・・営業利益率が20%以上
3. 上場スケジュールと想定価格
単独上場。同じ週に5社上場の最後の上場となる。
やや地合いも悪いため、どのような初値がつくか。
自 | 至 | |
仮条件決定日 | 2019/06/10(月) | |
抽選申込期間 | 2019/06/12(水) | 2019/06/18(火) |
公募価格決定 | 2019/06/19(水) | |
購入申込期間 | 2019/06/20(木) | 2019/06/25(火) |
上場日 | 2019/06/28(金) | |
想定価格(円) | 3,820 | |
公募価格決定(円) | 3,900 | |
想定価格からの上昇率 | 2.1% |
本上場における一番の懸念点は、社長の売出。
社長の保有比率が高いためある程度は仕方ないが、ややイグジット感もある。
公募も少なく資金調達という点での上場ではなさそう。
公募株式数(単位:株) | 332,500 |
---|---|
公募(単位:株) | 90,000 |
売出(単位:株) | 242,500 |
売出比率 | 72.93% |
オーバーアロットメント(単位:株) | 49,800 |
発行済株数 | 1,330,000 |
オファリングレシオ | 28.74% |
4. 手取金の使途
手取金は約3億円。主には広告宣伝費とセキュリティ強化費用となる予定。
概算額306,296千円については、当社サービス「リビンマッチ」の認知度アップ及びエンドユーザーを獲得するための広告宣伝費の一部として206,296千円(令和元年9月期21,190千円、令和2年9月期88,100千円、令和3年9月期97,006千円)、
「リビンマッチ」の新機能の開発費用及びセキュリティ強化対策のための投資資金として60,000千円(令和元年9月期11,339千円、令和2年9月期48,661千円)、
事業拡大に伴い、開発プログラマーや営業人員等の優秀な人材を確保するための採用費、教育費の一部として40,000千円(令和元年9月期4,444千円、令和2年9月期17,778千円、令和3年9月期17,778千円)を充当する予定であります。 ※2
5. 財務データ
直近の2019年9月期第2四半期決算において、借金は2億円ほどあるが現金が6億円程度存在しており、実質無借金。
売上や利益の成長については特に問題はなく、徐々に伸びている。
ただし、従業員があまり増えておらず今後の販管費次第では利益はぶれそうな印象。
※3
6. リスク分析
事業等のリスクにも記載がありますが、広告宣伝費は売上(営業収益)に対して、50%以上を占めています。宣伝費を一旦減少させると利益はでますが、将来的な収益に影響を及ぼしますので、利益が出ているからといって手放しで喜びづらい構造となっています。
売上と利益の伸び、さらに販管費についても分析が今後必要でしょう。
広告宣伝費について 「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 損益計算書関係」に記載のとおり、当社の平成30年9月期における広告宣伝費の営業収益に占める割合は53.9%に及んでおり、当社の事業において、広告宣伝費は集客数・営業収益増加のための重要な投資であると認識しております。
広告宣伝費の支出に関しては、広告効果を測定し、最適な広告宣伝活動を実施するように努めておりますが、広告宣伝活動の巧拙や検索エンジンの表示結果、ロジックの変更などにより、営業収益が大きく変動する可能性があります。※4
不動産事業に深く関与しているので、景気変動や金利動向に影響をうけます。
Tateruや様々な住宅会社の不祥事についても間接的に影響をうける会社といえます。
不動産・住宅業界市場の動向について 当社は、「不動産プラットフォーム事業」として不動産・住宅業界に特化したインターネットサービスを提供しております。
このため、景気の後退、大幅な金利の上昇、住宅税制の変化、その他予期せぬ要因の影響により、不動産需要が低迷し、不動産・住宅業界における広告出稿が大幅に減少した場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。※5
7. 株主構成
社長の持分比率がかなり高い当社。
ベンチャーキャピタルも見当たらず、かなり社長に偏った株主構成。
ロックアップはあり。
株主名 | 株数 | 売出 | 比率 |
---|---|---|---|
川合 大無 | 840,000 | 242,500 | 66.6 |
川合商会(株) | 400,000 | 31.7 | |
小櫻 耕一 | 3,268 | 0.3 | |
佐藤 慎也 | 2,424 | 0.2 | |
辻 準 | 1,956 | 0.2 | |
田中 靖宏 | 1,584 | 0.1 | |
平石 英皓 | 1,220 | 0.1 | |
新藤 正幸 | 1,200 | 0.1 | |
栗林 正樹 | 1,156 | 0.1 | |
國藤 直樹 | 1,128 | 0.1 | |
上位10名合計 | 1,253,936 | 242,500 | 99.5 |
株主名 | VC | LU(日数) | LU(株価) |
川合 大無 | 180 | ||
川合商会(株) | 180 | ||
小櫻 耕一 | |||
佐藤 慎也 | |||
辻 準 | |||
田中 靖宏 | |||
平石 英皓 | |||
新藤 正幸 | |||
栗林 正樹 | |||
國藤 直樹 |
※LU= ロックアップ
VCは、ベンチャーキャピタルの略、推測含む。
ロックアップは、「鍵を掛ける」という意味で、その銘柄の大株主等が、「公開後の一定期間、市場で持株を売却しない」旨、公開前に契約を交わす制度です。
基本的には、期間と価格の両方の条件が記載の際はどちらか一方が条件をクリアすれば株式保有者は売ることができます。
8. 主幹事証券
主幹事はみずほ証券。
シンジケート | 証券会社名 | 割当数(株) | 割当(%) |
---|---|---|---|
主幹事証券 | みずほ証券 | 296,400 | 89.1 |
引受証券 | SBI証券 | 11,600 | 3.5 |
引受証券 | SMBC日興証券 | 6,600 | 2.0 |
引受証券 | 楽天証券 | 4,900 | 1.5 |
引受証券 | マネックス証券 | 3,300 | 1.0 |
引受証券 | いちよし証券 | 3,300 | 1.0 |
引受証券 | 東海東京証券 | 1,600 | 0.5 |
引受証券 | 丸三証券 | 1,600 | 0.5 |
引受証券 | 岩井コスモ証券 | 1,600 | 0.5 |
引受証券 | エース証券 | 1,600 | 0.5 |
9. 提出会社の状況
2004年創業であり、勤続年数はかなり短い。2.2年は少し気になりますね。
従業員は前年対比+9名
この規模の会社にしてはかなり人を増やしています。
従業員 | 臨時雇用 | 平均年齢(歳) | 平均勤続年数(年) | 平均年間給与(円) | |
提出会社の状況 | 55 | 15 | 32.5 | 2.2 | 4,583,000 |
10. 初値予想
PER50倍で7900円
PER60倍で9480円
この辺りで、決まりますでしょうか。
即金規制となった場合は、週明け、G20終了後であり、地合もその結果次第で変化しそう。人気化は必至だが、昨今のIPOの雰囲気の悪さからやや安い初値となる可能性も。即金になるかどうか微妙なラインではないでしょうか。
前日追記
→あさくま、新日本製薬もベンチャーキャピタルがないものの弱い動き。
少しレンジを切り下げて、即金規制とはならない8000円での初値と予想します。
1 | 市場 | マザーズ |
---|---|---|
2 | 需給 | 1社 |
3 | VC、SO | VCなし,SO約2万株 |
4 | 吸収金額 | 吸収金額15億円、公募価格における時価総額約50億円 |
5 | 注目度 | テック系企業。人気化しそうではあるが、社長の売出はやや気になる |
a | 流動性 | ★★★★☆ (4) |
b | タイミング | ★★★★☆ (4) |
c | 事業内容 | ★★★☆☆ (3) |
d | 注目度 | ★★★★★ (5) |
e | 財務安全度 | ★★★☆☆ (3) |
f | 初値予想 |
EPS158円にたいして、需要も強そうであり、PER 50前後 8000~9000円程度か 前日→8000円に変更します。 |
↓初値予想良かったらご参加ください↓
↓もう一つ記事をいかがですか↓
※1~※5 目論見書、有価証券報告書から引用
※本レポートに掲載される内容は、コメント執筆時における筆者の見解・予測であります。また、提供する情報等は作成時現在のものであり、今後予告なしに変更又は削除されることがございます。
当ブログは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としており、投資勧誘を目的として作成したものではございません。また個別銘柄の記事を書いておりますが、投資を勧めるものではございません。
本レポートの内容に依拠して読者が取った行動の結果に対し責任を負うものではございません。投資にかかる最終決定は、ご自身の判断と責任でなさるようお願いいたします。