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ミンカブ・ジ・インフォノイド(4436) 初値予想 2019年3月19日上場

1. 基礎データ

 

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※1

 

かぶたん、みんかぶで、投資家に有名なサイトを運営している当社。

 

(1)メディア事業

 

当社は、かぶたん、みんかぶにおける有料会員と広告収入によって収益が生まれています。現時点では、広告収入の方がウェイトが大きいようです。2018年より月額有料の会員を募っており、今後こちらの拡大も期待されます。

四季報オンラインなど競合サービスは複数ありますが、個人的には非常に使いやすいのはかぶたんだとかんじています。私は、個人的に有料会員を半年以上継続しています。)

 

1ヶ月間に当社運営サイトを訪れるユーザーの数は平均500万人以上となっており、ユーザー数は堅調に増加しています。

 

 

 

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 ※2

 

目論見書からの情報を確認すると、グーグルや、インタースペースなどアフェリエイトからの収益が大きい。

 

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 ※3

 

 

 

(2)ソリューション事業

 

ソリューション事業では、主にメディア事業向けに開発した情報コンテンツやアプリケーションをB2B及びB2B2Cユース用にソリューション化して展開しています。

 

かぶたんを通じて、この技術は使われていますが、企業の開示情報を即時に取得し、掲載する技術を応用して他社に提供するビジネスをやっているということです。

 

メディア事業におけるユニークなアセット構成(AI及びクラウドインプット、ビッグデータ)を活用して付加価値を高めることで他社との差別化を実現し、取引先は金融機関を中心に100社を超えているようです。

 

特にAIによる記事自動生成技術では、全上場銘柄を対象とした網羅性と、会社発表から瞬時に(1秒で)配信する速報性が売りとなっており、技術力のある企業の一つといえそうです。

 

会社名 株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイド
所在地 東京都千代田区神田神保町3-29-1
代表者 瓜生 憲
設 立 2006年7月7日
資本金 5,000万円(2018年3月31日現在)
事業内容 メディア事業・ソリューション事業
従業員数 82名(2018年11月1日時点)
取締役 代表取締役社長 / 瓜生 憲
取締役副社長 兼 CFO / 髙田 隆太郎
取締役 / 伴 将行
社外取締役(監査等委員)/ 浜野 信也
社外取締役(監査等委員)/ 石橋 省三
社外取締役(監査等委員)/ 五十嵐 達

 

 


2. 上場スケジュールと想定価格

 

3社同時上場。資金が分散する可能性もあり、IPOが比較的続いている点からも安く寄る可能性はあります。

 

 
仮条件決定日   2019/02/27(水)
抽選申込期間 2019/03/01(金) 2019/03/07(木)
公募価格決定   2019/03/08(金)
購入申込期間 2019/03/12(火) 2019/03/15(金)
上場日   2019/03/19(火)
想定価格(円)   960
公募価格決定(円)   1,050
想定価格からの上昇率   9.4%

 

 

売出が多く、ベンチャーキャピタルのイグジットが強い印象。

 

発行済株式数も多いですが、公募価格1050円と値動きは激しくなりそうな価格設定ですね。

 

 

公募株式数(単位:株) 2,740,200
公募(単位:株) 1,000,000
売出(単位:株) 1,740,200
売出比率 63.51%
オーバーアロットメント(単位:株) 411,000
発行済株数 12,536,900
オファリングレシオ 25.14%


3. 手取金の使途

上場に伴い約8.7億、第三者割当で3.6億の資金を獲得する予定です。

 

後述しますが、財務体質はあまりよくないため、開発費用といいながら手元資金を分厚くして経営を安定させたい印象も。

 

主には、ソフトウェアの開発が中心となっており、以下の通り、12億円を充当する予定。ただし、4年と長期にわたっており、また償却も見込まれることから費用となって計上される額は限定的だと思われます。

 

 

手取概算額873百万円に本第三者割当増資の手取概算額362百万円を合わせた、手取概算額合計1,236百万円については、以下のとおり充当する予定であります。

 

①当社のメディア事業、ソリューション事業の中長期的な成長を支える自社利用ソフトウエアの開発への投資並びに継続した既存自社利用ソフトウエアの維持更新に1,200百万円を充当する予定であります。

 

(2020年3月期300百万円、2021年3月期300百万円、2022年3月期300百万円、2023年3月期以降300百万円)

 

②当社の現在の運転資本並びに今後の事業拡大に伴うこれらの増加に36百万円を充当する予定であります(2020年3月期36百万円)が、最終的な調達額次第では、その全額を上記①の自社利用ソフトウエア開発に充当する可能性があります。※4

 

4. 財務データ

 

売上は順調に伸びていますが、利益はまだあまり出ていない状況です。

今期予想EPS12.2円からはすでにPER70倍~80倍のレンジです。

今後大きく、利益が伸びるフェーズがとのあたりか、それ次第で評価はがらりと変わりますが、割安感はあまりない印象。

 

AIを使った情報収集技術など、技術力はある企業ですが、やや売出も多くイグジットの感触が強いです。

 

バランスシートを見ると、借入金は大きく、資産側には、借入金の担保となる金銭を信託している状況です。あまり余裕が無いように見えるため、今回上場を急いだ可能性はあります。

 

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 ※5


5. リスク分析

 

①この会社のリスクとしては、金融市場特に株式市場の暴落があげられます。サイトを訪れる人の減少は、直接収益の減少になる可能性があります。

 

②こちらの方が大きいですが、Googleリスクがあります。広告収入が大きいため、何らかの事情によりGoogle等からの広告収入が入らなくなった場合は、収益が大きく落ちる可能性があります。


6. 株主構成

 

ベンチャーキャピタルがかなりいます。公募価格から1.5倍のあたりは、意識しておいたほうがいい株価です。ロックアップ解除後の売り圧力は強い可能性がありますね。

 

株主名 株数 売出 比率 VC LU(日数) LU(株価)
瓜生 憲 1,348,800 103,800 10.6   90  
FinTechビジネスイノベーション投資事業有限責任組合 1,020,000   8.0 90 1.5
ソニーネットワークコミュニケーションズ(株) 980,300   7.7   90 1.5
(株)朝日新聞社 850,000   6.7   90 1.5
起業投資事業有限責任組合2号 825,800 206,300 6.5 90 1.5
起業投資事業有限責任組合1号 720,000 180,000 5.7 90 1.5
MICイノベーション3号投資事業有限責任組合 501,900   3.9 90 1.5
MSIVC2008V投資事業有限責任組合 500,000   3.9 90 1.5
あすかDBJ投資事業有限責任組合 384,300 384,000 3.0    
BRAVE GO LIMITED 325,000   2.6 90 1.5
上位10名合計 7,456,100 874,100 58.5      

 

 

※LU= ロックアップ
VCは、ベンチャーキャピタルの略、推測含む。
ロックアップは、「鍵を掛ける」という意味で、その銘柄の大株主等が、「公開後の一定期間、市場で持株を売却しない」旨、公開前に契約を交わす制度です。

基本的には、期間と価格の両方の条件が記載の際はどちらか一方が条件をクリアすれば株式保有者は売ることができます。


7. 主幹事証券

 

SBI主幹事案件。

複数枚数の当選もあったようです。

当選枚数自体はかなり多め。

初値がどの程度でつくか注目案件となっています。

 

シンジケート 証券会社名 割当数(株) 割当(%)
主幹事証券 SBI証券 2,329,200 85.0
引受証券 SMBC日興証券 82,300 3.0
引受証券 みずほ証券 82,300 3.0
引受証券 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 32,900 1.2
引受証券 岩井コスモ証券 27,400 1.0
引受証券 東海東京証券 27,400 1.0
引受証券 松井証券 27,400 1.0
引受証券 マネックス証券 27,400 1.0
引受証券 楽天証券 27,400 1.0
引受証券 岡三証券 16,400 0.6
引受証券 藍澤證券 8,200 0.3
引受証券 エイチ・エス証券 8,200 0.3
引受証券 エース証券 8,200 0.3
引受証券 極東証券 8,200 0.3
引受証券 東洋証券 8,200 0.3
引受証券 水戸証券 8,200 0.3
引受証券 むさし証券 8,200 0.3
引受証券 安藤証券 2,700 0.1

 

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※1%以下は、記載省略


8. 提出会社の状況

 

従業員数は、80名程度。

販管費の多くは人件費と推測されます。500万円程度でAIのスペシャリストがどのぐらい雇われているのかは気になる所です。

 

 

  従業員 臨時雇用 平均年齢(歳) 平均勤続年数(年) 平均年間給与(円)
提出会社の状況 83 0 42.6 3.5 5,453,533

 


9. 初値予想

市況の強い(2019年3月18日時点)ことから、比較的強気の初値がつきそう。1575円はかなり意識されそうな価格(公募の1.5倍、ロックアップ解除)ですが、さすがにそれよりは低い価格で初値がつくかと考えています。

 

もし仮に強い初値だった際にはボラティリティはかなり高そうです。

 

 

 

1400円~1450円程度を初値予想。

↓↓ 同日上場の コプロ(7059)の初値予想は以下の通り ↓↓

 

ipostudy.hatenablog.com

 

 

 

 

 


オファリング・レシオ=(公募株+売出株)÷発行済株式総数

 

※1~※6 目論見書、有価証券報告書から引用

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