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共栄セキュリティ(7058) 初値予想 2019年3月18日(月)上場

1. 基礎データ

 

会社名 共栄セキュリティーサービス株式会社
Kyoei Security Service Co., Ltd.株式会社カオナビ(英文 kaonavi, inc.)
所在地 東京都千代田区九段南1丁目6番17号 千代田会館
代表者 我妻 文男 (あづま ふみお)
設 立 1985年(昭和60年)5月15日
資本金 5,000万円(2018年3月31日現在)
事業内容 警備

 

設立当初より交通誘導警備を主な事業として取り組んでいましたが、2000年に大型施設の施設警備を開始したことを契機に、施設警備の拡大しています。

 

今では、施設警備、交通誘導警備を中心に、ボディーガードなど網羅的な人的警備を事業としており、警備に関する事業全般に取り組んでいる企業です。

 

 

セコム、綜合警備、セントラル警備などの大手がありますが、比較会社として参考になりそうなのはトスネット。

 

トスネットは、時価総額50億円程度、売上100億円営業利益8億円です。

 

トスネットの半分の売上50億円営業利益4億円程度なので、その程度の時価総額で評価できそうです。

 

以下、事業の概要ですが、施設警備、交通警備がメインとなっています。

 

 

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 ※1

 

 


2. 上場スケジュールと想定価格

 
仮条件決定日   2019/02/26(火)
抽選申込期間 2019/02/28(木) 2019/03/06(水)
公募価格決定   2019/03/07(木)
購入申込期間 2019/03/08(金) 2019/03/13(水)
上場日   2019/03/18(月)
想定価格(円)   2,070
公募価格決定(円)   2,100
想定価格からの上昇率   1.4%

スケジュール的には過密している3/19を避けた単独上場となるので、比較的高騰しやすい環境。

ただし、警備業なので、あまり人気のでる業種ではなく比較的地味です。

 

 

 

公募株式数(単位:株) 430,000
公募(単位:株) 400,000
売出(単位:株) 30,000
売出比率 6.98%
オーバーアロットメント(単位:株) 64,500
発行済株数 1,442,000
オファリングレシオ 34.29%

 

 

売出は少なく、吸収金額10億円と小型といえるIPO

2000円以上の価格で公募していますので、やや値動き自体は小さいと考えています。

 


3. 手取金の使途

 

以下詳細は、目論見書にありますがこのIPOも人材獲得のための資金が中心です。

売上増に直接つながりそうな新規エリアへの資金は2億円と限定的です。

 

 

(1)人材関係に3億円

(2)新規出店に2億円

(3)システム関連に2億円

 

①人材採用・人材育成等のための投資既存エリアの業績拡大を目的とした、各事業所(本社、営業所等)における人材採用活動強化のための投資、定着率上昇を企図した福利厚生充実のための投資、警備サービスの品質向上のための教育投資資金として300,000千円(2020年3月期に75,000千円、2021年3月期100,000千円、2022年3月期125,000千円)

 

②新規エリア進出のための投資新規エリアへの進出を目的とした、新規事業所や社員寮の設置資金、新規エリアで勤務する人材採用活動のための投資資金として200,000千円(2020年3月期に100,000千円、2021年3月期100,000千円)

 

③社内基幹システム構築のための投資業務効率向上を目的とした、社内基幹システム構築のための投資資金として100,000千円(2020年3月期)

 

④事業生産性向上のための投資事業生産性向上により当社警備サービスの付加価値を高め、持続的成長を実現することを目的とした、顔認証や指紋認証等のセキュリティーシステムの導入等による少人数で高品質かつ効果的な警備サービスを実現するための投資資金として100,000千円(2021年3月期) ※2

 

 


4. 財務データ

財務状態は、比較的良好です。

 

現金、投資用不動産も合計17億円とバランスシートの半分以上を占めており、自己資本比率も70%前後と安定しております。投資不動産を保有しているため経常利益が上振れしやすいことも当社の特徴。

 

業績も安定しており、高い成長は見込みにくい業態ですが、売出価格には割安感があるため比較的初値も順調な価格がつきそうだと考えます。

 

強いて言うなら、今回の資金調達は現金をあまり必要としない当社としてはもう少し少額で良い気もします。ただ、来期以降業績拡大につながる可能性もあるためそのあたりの会社側の説明に注目したいです。

 

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  ※3

 


5. リスク分析

 

 

警備業であり、人材獲得におけるリスクはあります。年収は口述しますが、比較的低いので、事業拡大におけるリスクとなりえます。

 

 

加えて会社側の説明としては、売上が主要10社で60%を占めている点が挙げられています。業績は安定しているが、ここは確かにリスクといえます。

 

当社グループの売上は、主要取引先10社((株)サン総合メンテナンス、(株)アサヒファシリティズ、他)が6割近くを占めており、これら取引先の動向によっては、大幅値下げや店舗の統廃合による既存の契約物件の解約等により、当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。

 

社員採用に関するリスク品質の高いセキュリティーサービスを継続して提供するためには、優秀な人材を確保し、継続的な教育、研修を行うことによって、警備に関する知識や技能の維持、向上を図ることが必要であります。当社グループでは年間を通じて既卒中途採用を実施しておりますが、少子化の時代を迎え、必要な人員を確保できなくなった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 ※4

 

 

6. 株主構成

 

資産管理会社が主要株主。

ベンチャーキャピタルなどは見当たらず、急いで売り出す株主は少ない印象です。

 

株主名 株数 売出 比率 VC LU(日数) LU(株価)
合同会社あっとプラニング 650,000   59.8   180  
マックスコーポレーション(株) 100,000   9.2   180  
(株)ケイ・エスエス 80,000   7.4   180  
我妻 文男 62,000 30,000 5.7      
(株)サン総合メンテナンス 50,000   4.6      
我妻 紀子 43,000   4.0   180  
合同会社K-mac 34,000   3.1   180  
阿部 克巳 33,000   3.0   180  
我妻 和文 15,000   1.4      
芹澤 成美 4,000   0.4      
上位10名合計 1,019,000 30,000 93.7      

 

 

※LU= ロックアップ
VCは、ベンチャーキャピタルの略、推測含む。
ロックアップは、「鍵を掛ける」という意味で、その銘柄の大株主等が、「公開後の一定期間、市場で持株を売却しない」旨、公開前に契約を交わす制度です。

基本的には、期間と価格の両方の条件が記載の際はどちらか一方が条件をクリアすれば株式保有者は売ることができます。

 


7. 主幹事証券

シンジケート 証券会社名 割当数(株) 割当(%)
主幹事証券 みずほ証券 387,000 90.0
引受証券 SBI証券 12,900 3.0
引受証券 岡三証券 8,600 2.0
引受証券 いちよし証券 8,600 2.0
引受証券 あかつき証券 8,600 2.0
引受証券 岩井コスモ証券 4,300 1.0

主幹事はみずほ証券。90%を占めています。

 

 

 

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8. 提出会社の状況

  従業員 臨時雇用 平均年齢(歳) 平均勤続年数(年) 平均年間給与(円)
提出会社の状況 398 1062 43.8 7.7 3,356,000

 

平均年収330万円。

他業種と比べるとかなり低い給与です。

拡大におけるリスクはあります。

 


9. 初値予想

 

低いPER(8倍台)での公募。

2019年3月期 257円のEPSとなっており、2800円~3000円程度の初値と考えています。11倍~12倍程度。仮に3000円とすると時価総額40億円程度。ややこのバリュエーションは高いかもしれません。

※ただし、公募株数により希薄化が大きいため来期のEPSが下がる点は注意が必要です。

 

 

 

 

 

同業トスネットが11倍ですね。

大きい上昇は見込みにくいですが、公募割れ確率は少ないはずです。

 

配当性向は30%程度となっています。

 


オファリング・レシオ=(公募株+売出株)÷発行済株式総数

 

※1~※4 目論見書、有価証券報告書から引用